新年宮中行事の締め括りとなる「歌会始」がNHKで放送されていて、
休みで在宅であった家内と初めて式次第を最後まで観ました。
解っているだけでも奈良時代の「歌御会始」から綿々と続いている日
本古来の伝統行事という事ですが、和歌の素養など無い私にとっては
今日まで縁遠いものでした。
今年のお題は「岸」
一般から選ばれた歌を10首
選者・招人(めしゅうど)から2首
皇后陛下のお歌1首を2度
天皇陛下のお歌1首を3度、おそらく古来の仕来り通りに朗詠された
のでしょう。
「帰り来るを 立ちて待てるに季(とき)のなく
岸とふ文字を歳時記に見ず」
皇后陛下の詠まれた和歌です。私は最初、愚かにもこの歌を被災地とリンク
出来ずに理解出来なかったのですが、被災地に思いを寄せながら、被災地
以外の国民の心にまで思いを寄せた歌だと気付いた時、大きな感動に身を
包まれました。
なんと慈悲深く、優しく、教養豊かな歌なのでしょうか・・・
「岸とふ文字を歳時記に見ず」というのは季節・時に左右されない、
日本人の普遍的な部分を現しているのでしょうか?
人は常に岸辺に立って大切な人を待っている存在で、被災地で家族を
待ち続ける人々の心を重ね合わせながら、皇后陛下のお心が強く
「岸辺で佇む人」全てに寄せられている事を詠っているものだと感じ
られました。
普段は日本社会を蝕む「日本的無常観」に対して批判的な視点を持
つ私ですが、この一首の和歌の根底に感じられる無常観は「救い」な
んですね。
和歌に不心得な私の解釈ですので見当違いならご容赦!!
蛇足ですが招人の代表として堤清二氏の歌が詠まれていました。
現在は辻井 喬のペンネームで文筆業をしている様ですが、嘗ては西
武セゾングループの総帥としてバブル日本の一翼を担った人物。
当時、彼の経営学の様な記事を随分と読んだ覚えがあります。
同じく、当時鼻息が荒かった角川書店の角川春樹氏も句人として句集
など出している。油もすっかり抜けてしまって・・・
時の流れを感じますね。
無常かな・・・やはり^^;