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必ず「望む結果」を引き出せる! ハーバード流交渉術 著者ロジャー・フィッシャー ウィリアム・ユーリー (訳)岩瀬大輔 三笠書房刊
同級生が大型書店の店長になってから足繁く其処へ通うようになった。 何処の本屋でも売れ筋やお勧めのランキングの棚がありますが、そこで 売上1位の棚にあったのが此の本です。 何となくネゴシエーター的なものが頭に浮かんで手にとったのですが、 日常のビジネスや私事での対人交渉術を扱ったハウツー本でした。 「気になった本は一先ず買ってしまえ!」というのが私のスタンス。 1位になる何かしらが「在る」という期待もありました。 タイトルは少々言い過ぎかも^^;
著者自身も書いていますが、この本は特に目新しい事や画期的な交渉術 が書いてある訳ではありません。成功者の手法を扱ったビジネス本では 頻繁に見かける内容ですし、実際に契約や商談で対人交渉をしている人 間なら自然に行っている事も多い。 ブレインストーミングも今更という感じでしょう。 ただ、それらは断片的な事例の羅列であり、ハーバード流に心理学や行 動学、統計学等を加味して交渉術として体系化したという事なのでしょ う。読者の能力?を考えてか、体系化に至る情報や分析ツール等に関す る記述はありませんでした。
交渉手法を先ず単純に友好的(日本的?)、敵対的、原則立脚型の3つ に分類して、感情に左右されず原理原則を注視する原則立脚型と、其れ の応用が如何に優れた交渉術(心構え)かを諸例を語りながら説明して いきます。交渉事の結果利益の最大値は、基本的には一方的に得られる もので無く、交渉後の相手との関係性も含めた相対的な値だという認識 なのでしょう。 その為の交渉相手に向かう最初のスタンスは「No and」や「Yes but」 でなく、「Yes and」からスタートするのがベター(ベストでは無い) という処でしょうか・・・ 米国の知識人達も日本人が感じる様に、米国の弁護士等の「法を盾に取 った紋切型で悪食な交渉術」に嫌気がさしているのかな?とも感じま す。
悪く無い というか、真っ当な交渉とは「そういうモノ」だとも思いますが、体系 化したものは固定観念となり、やがて陳腐化するのが常です。 著者も「勝ち取るべきは先ず交渉手法である」としています。 此れは個人の能力と経験値も関係して更新され続けるべき対象ですので 、結局は体系も組み直す意識を必要とされ続けます。 当書は、他の啓発本と同様に「ヒント」を与えてくれる良書であり、自 明となっている自分の手法(習慣)を疑う時に良い指針となってくれる と思います。 しかし、著者には失礼ですが大型書店で1位になる程かというと些かと いう気もします。 ハーバードという看板から来るマイケル・サンデルの影響もあるのでし ょうね。
交渉力では人並み以下の日本の政治家は読んでおいた方が良いかな。 特に後半の「相手の方が強かったら」の章以降は、これからTPP交渉 に臨む野田総理などは読んでおいた方が良いかもしれません。
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