テーマ:徒然日記(23460)
カテゴリ:雑談
厚生労働省が毎年選定して表彰する「現代の名工」に我が埼玉県からは今年二人が選ばれました。
アーク溶接工 田中聖一氏 建築板金工 中里一夫氏のお二方。 日本の溶接技術は世界でも群を抜いており、ドバイが建設ラッシュの頃は超高給で日本の優秀な溶接工がこぞってもって行かれてしまって日本の産業界が難儀したのは記憶に新しいところです。田中氏はJR勤務の方だそうですが、こうした名工が日本の鉄道の安全性とクオリティーを支えているのでしょう。 心から受賞をお慶びしたいと思います。 建築板金工の中里氏は旧知の親方です。町場の工務店の仕事が減り続けている事情もあり、職種違いの下請け業者同士ですので此処10年以上お会いしてお話する機会は無くなっておりました。ハスキーなウイスキーボイスの親方で、カラオケをご一緒した時にその名調子に驚いたのは随分と昔の事になってしまいましたが、こんな形で久しぶりにお名前を拝見出来るのは喜ばしい限りです。地元の板金組合長も歴任され職業訓練校の講師としても多くの職人を育ててきた同氏の受賞は当然かもしれません。 現在は息子さんが後を継がれて頑張っておられるようで何よりですが、親方には今後も「確かな技術の継承者」として後進の指導にご尽力される事を願って止みません。 実は中里氏が講師をされている職業訓練校の校長は私の取引先の棟梁で、つい先月も仕事の打ち合わせを兼ねて訓練校を拝見して来たのですが、ご時世で生徒が集まらない事を嘆いておられました。建築技能者の後継問題が危機的状況である事を実感するのですが、それでも少なくなったとはいえ日本建築に価値を見いだし、志をもった若者達が集って研鑽を積んでいる現場が其処にはありました。特に女性の進出は顕著の様で、建築士として会社に勤務しながら「現場の技術を知りたい」という事で、会社帰りと休日に訓練校に通い詰めて技術習得に励み、技能競技会に向けても頑張っているという若い女性の話を嬉しそうに話す校長の表情が印象的でしたね。私は寄り道・回り道ばかりしてきた職人で「仕事一筋」とはほど遠いタイプですので、こうした名工や日夜研鑽に励む若者達を前に同じ職人と名乗るのも憚られるのですが、少なくとも「目利き」ではいたいと思うのです。自分で出来る事は能力や環境で制約を受けますが、真に価値あるものを認め称えられる存在では在りたいと思うのですね。 これは建築の世界だけに限らないのですが、突き詰めて考えると畢竟「陳腐な知識とバイアスで人間を語るな」という様な処へ落ち着く感じもいたします。 「現代の名工」は元よりですが、世には隠れた「名工・名人・有能有益な人」が様々な分野に数多く存在しており、そうした優れた人々の価値と業績を知り共有する事は人生の大きな楽しみであり意義でもあるのだろうと考えるところであります。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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