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カテゴリ:過去を振り返ってみた
中学生の頃、塾に通っていた。あの塾なんだっけ・・確か、総合塾だったような気がする。でも、その塾の中身というのはマジで月謝泥棒みたいな感じだった。
塾での授業中、隣の友達と喋ってても先生は何も言わなかったし、居眠りしてても怒られやしなかった。 そんな、ある意味勉強しに行ってんだか、遊びに行ってるんだか解らないような塾で学校の延長でもある時間をすごす。もちろんのこと成績は一向に上がらなかったけど、これはこれで楽しかった。 そんなある日、塾での授業が終わってからのコンビニでの買い食い途中で見てはいけないものを見てしまった。 ってのは、 【万引き】 当方がレジで並んでいると、当方の身体の死角を利用しながら店員の目を見事に欺くような早業で、一人の小学生がお菓子をポケットに突っ込んだ。 「ま・・・マジかよ・・・」 ハッキリ言って進行形で見ているこっちがドキドキした。 そんな事とは露知らずその小学生は、周りをキョロキョロしながらも数種類のお菓子を更にポケットに突っ込み、リスが冬眠するときのホッペのようにプックリ不自然に膨らんだポケットのまま何食わぬ顔でそのコンビニを後にした。 「これは・・・注意すべきか・・せぬべきか・・・」 ずいぶん迷ったけど、その小学生がそのコンビニを出て近くの自動販売機の前で座っていたので帰り道に目の前を通る事だし、良心があまりにも痛んだ当方は、その小学生に声を掛けることにした。 「なぁ、さっきの見てたよ。もし俺の言っていることが正しかったら、正直に答えてくれ。えっと、そこのコンビニでお菓子を何個か盗んだべ?盗んだものは返さなきゃダメだよ。もし君が返しづらかったら、俺が君の代わりにコンビニに返しに行ってあげるから」 ハッとしたような表情で当方を見つめる小学生。どうやら誰にもバレていないとでも思ったんだろう、妙に目が泳いでいた。 「悪いことしたって事はわかるよね?だから、ちゃんと返さなきゃ。な?」 目に涙をイッパイに溜めながら、その小学生はうつむき加減にこう言った。 「ごめんなさい・・ごめんなさい・・どうしても食べたかったんだ。でももうしないよ、悪い事だし、男だから。」 そう言って顔を涙でクシャクシャにしながら、盗んだお菓子をポケットから全て出して当方に渡すと、駆け足でその場から去っていった。あぁぁ・・・なんて感動的なんだ。やっぱり勇気を振り絞って注意してよかった。 あまりに自分が良い事をしたという達成感と、悪の道からその小学生を救ってやったという正義感。一種のクライマーズ・ハイのように脳内アドレナリンがドバドバ出まくった当方も若干涙を浮かべ、帰り道、家までテクテク歩きながらそのお菓子を全部食った。 美味かった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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