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カテゴリ:洋食・フレンチ
20年くらい前の話。
車庫の天井から2羽いる文鳥の籠を吊るしておいた、ある日の昼下がり。チュンチュン、と2羽が仲睦まじく首の部分をすり合せているのが何とも微笑ましい。当の飼い主はケツをポリポリ掻きながら煎餅食って部屋でテレビを見ていた。 その時、鳥篭のある、車庫の方から尋常ならざる何かの叫び声が聞こえてきた。 また野良猫がサカリでもついて喧嘩してんのかな・・・と重い腰をあげて、窓を開けて車庫を見てみると、文鳥の籠の中にモロに猫が入ってた。どうやって籠の入り口を開けたのか、どうやって人の目線よりも更に高い位置までよじ登ったのかは判らないけど、とにかく小さな籠の中で猫が暴れてた。 きっと鳥は無事なはずだ、なぜかといえば籠の中に設置してある木箱巣の小さい穴の中に逃げ込めば、いくら猫でも容易に箱を破壊出来ないだろうし、その穴も猫の頭が入る大きさではないことは一目瞭然。そして猫の方も鳥篭という小さな檻の中に入ってしまったからには中から脱出不可能に見えた。 今現在起こっている事態の解決法を考えながら靴を履き、表へ出る。籠に近づくと猫が全身の毛を逆立ててシューシュー威嚇してきた。さすがに半野生を生き抜いている野良動物は怖い。さて・・・どうするか・・と、吊るしてある籠を見上げながらその周りをぐるぐる回り、少しづつ間合いを詰めていく少年M君。それにあわせて猫もこちらを見下ろしながら、狭い籠の中を時計の針根のようにくるくる回る。 しばらくその様な状況が続いたが、小さな巣箱の中でブルブル怯えているであろう鳥たちがショックで死んでしまったら可哀想、と考えた少年M君は、意を決して籠を車庫の屋根から引っ張るように下ろした。いや、下ろしたというより途中で猫が暴れてチビッた少年M君の手から籠の持ち手が滑って落ちた。ガシャーン、そのショックで籠の下が抜け、猫は猛ダッシュで籠から脱出。数メートル離れたところで此方を振り返り「まふぉぉぉーーーお!」と鳴いた。 少年と猫の距離があんまり近いと巣箱を開けたときに中の鳥を横取りされる恐れがあったから、まだそんなに離れていない所で隙を狙っている猫を睨み付けながら更に追いかけ、目視出来ない位置まで猫を追いやる。 もう大丈夫だろう、と思ったところで籠の方に戻り木箱を開けた。 「・・・・・・・。」 鳥は2羽とも居なかった。 よく見ると籠の吊るしてあった真下にも、籠の中にもすごい量の羽が散乱している。 2羽の鳥がどうなったかは明らかだった。 文鳥の仇を討とう。 瞬時にそう思った。 その為にエアガンを買った。当時としては結構値段が高い、威力も命中精度も高いものを選んだ。チラシ紙の裏にマジックで的を書いたもので射撃の練習を学校が終わると毎日した。流石に動いている的には当てる自信が無かったけど、止まっている的だと10メートルくらいの距離だったら確実に当たった。 精度は練習と共に自然に身についた。 次に銃の威力の問題があった。 アルミ缶をゼロ距離射撃。プラスチック弾の当たった場所が、ほんの少しだけ凹んだ。駄目だ、これではあのフワフワの毛で覆われた体に当たったとしても、この威力じゃ寸分のダメージをも食らわすことが出来ない。熟考の末、銃の中を分解してバネを強化してみた。 再びゼロ距離射撃。 ボコ!っという鋭い音と共に弾はアルミ缶を貫通し、尚且つ部屋中を玉が反射した。 威力、精度。こうして2つの問題を解決した。 しかし猫は動く。動きを止めて、正確に体に弾をあてる、その為には足止めが必要だった。そして考えた末、動きを封じるために庭にヨッチャンイカを目立つ皿に入れて仕掛けた。皿の匂いを嗅いでもいいし、中のものを食べてもいい。とにかくほんの数秒で良いから立ち止まってくれれば目標を射貫く自信があった。 その皿が見える部屋の窓を数10センチ開け、そこから銃口を出す。ホフク前進の姿勢で銃を構える。長丁場になったときの事を考え、水と一食のみの食料を持ち、皿付近から片時も目を離さないように目標を待つ。 準備は完璧だった。 この野良猫は、ほぼ毎日家の庭に来る。サカリの季節になると、どうしようも無いくらいにウルサイ迷惑猫だ。しかしこれは自然の法則だから我慢できるとしても、やはり愛鳥を襲ったところを現在進行形で見てしまったことが、ここまで少年M君を本気にさせた。 待つこと数時間。 カサ、、カサ・・・ 自然の力ではない、葉の揺れる音がした。 猫が来た。 どうやら皿に気づいているようだ。 辺りを警戒しながら皿に近づいてくる。その距離約10メートル。 が、動いている今はまだ引き金を引くのは早い。 そっとトリガーに人差し指をかける。 猫は皿に入った罠のヨッチャンイカの匂いを嗅いだ。 完全に目標の動きが止まった。 ・・・・。 ・・・・・・・。 引き金を引くことは出来なかった。 (ごめんな、仇討てなかったよ・・・) ============== 少年期にこんな出来事があったもんだから、当方は大の猫嫌い。猫が出ているテレビや写真を見ても、可愛いと思ったことも無い。むしろ、過去のこの出来事を思い出して憂鬱さが募る。 極めつけは重度の猫アレルギー。猫が存在している場所に行くと、くしゃみと鼻水が止まらなくなる。なんでね、生態系の頂点に君臨する人間様がこんなチビッコい動物に不愉快にされなきゃなならんだよ。もうね、猫ほんと嫌い。 ブログでもたまに見るけど、自分のところで飼っている猫をプロフィール写真に使っているウンコ野郎がいますよね。もうね、ほんと糞食らえって言いたい。写真見るだけでくしゃみ出るちゅーねん。 だからね、 猫飼ってみた。 名前はネオ。名前考えている時に、マトリックスの再放送がやっていたからネオ。 ♂11ヶ月。超可愛い。猫大好き。 毎日くしゃみ200回くらい出るけどね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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