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カテゴリ:お隣さん
「水がひいてきたから大丈夫
さっきはあそこまであったの」 座敷から川を指差す 岡崎市1級河川の男川流域沿い、今は護岸工事されて わたしたちは安全に こうやって川を見て話ができる 40年よりもっと昔、 彼女はこの地で洪水にあった 「山から丸太が 次々と流れてきてね 傷だらけになりながら、必死でよけたの たどりついて 人に笑われて始めて、 ネグリジェが脱げてシュミーズ一枚に なっていた自分に気づいた なぜかずっと枕をだきしめていたの」 彼女は岡崎の城下町に育ち、その街で三河大地震にあった 「神社でお友達と鞠つきをしていたの 急に揺れだして、倒れる石灯籠の中を夢中で避けて 鳥居をぬけたら床屋のおじさんが、桜の木につかまっていた 『こっちにおいで!』と言われて、這って行ったたら おじさんが掴まえて、木に抱きつかさせてくれた あとから、すごくお母さんに叱られた ずっと揺れていてみんな家に入れないから、町内の空き地に 唐紙(障子)で囲ってござを敷いて、生活したのよ」 やはりその街で、彼女は空襲にあった 「首だけ出して夏蒲団をかぶって川に浸かっていたの 隣でおじさんに連れられた牛がモーモー鳴いてた 橋の上には焼け爛れた皮膚をぶら下げた人たちが歩いていて、 岸には、『ミズ・・水』と言いながら、死んでいく人がいて 自分も死ぬのかなと思ったりしていた 小学校の帰りにも 銃撃されてね やっと飛行機が行って、伏せた顔をあげたら、 白いものが地面にこびりついていて 『お豆腐だ…』と思っていたら、お友達の脳みそだった」 このような体験をして後、わたしだったら、生きていけるだろうか それには薄く弱すぎる精神 ならば、せめてしっかりと彼女の話を聞こうと思うのです そしてそれを、わたしだけのものにせず みんなに伝えたいと思う それに彼女だけでなく、もっと多くの先輩に聞かなくてはと思う お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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