テーマ:約束(6)
カテゴリ:思い出
一年前の3月29日は、
夫が大好きだった我が家を後にしてホスピスへ向かった日です そして一年前の今日は我が家で過ごす最後の日となりました もう自分で上体を起こすこともできないので 思い出深い家の中を見て回ることもなく ただただ安心できるホスピスへ行ける喜びの方が大きかったように思います そのためか、不思議と原因不明の強い頭痛も起きず 本当に穏やかな時間を過ごしていたと思います そんな中、私に伝えたいことが五月雨式に思い出すのか 今後の生活のことなどを私に伝えようとしてくれました 『もし、お金に困るようなことがあれば長男に相談するように』 これから一人きりで生きていくことになる私のことが 心配で心配で仕方ない様子でした 私も、断崖絶壁の淵に立っているような不安と恐怖の真っただ中にいましたが 夫と一緒にいると何とも言えない安らぎと幸せが感じられる至福の時間でした 晩御飯と言っても、ミキサー食のお粥とポタージュを少しとオレンジジュースを少しずつ、そんな程度の食事しか摂れなくなっていましたが 一口一口食べてはニッコリとほほ笑んでくれて 時間を一秒たりとも無駄にしないように、 大切に大切に過ごしているように見えました 残り少ない時間を全て私と共に過ごしたいと思っていたらしく 私がお風呂に入る時間さえ待ちきれないようでした そして眠る時間が近くなったとき 何か言いたそうに私の手を握って しばらく顔を覗き込んでいましたが 夫は穏やかに微笑むばかりで何も言わず・・・ そんななか、私の気持ちを伝えておかないと、と初めて気が付いて 夫に巡り合って結婚してからの事、楽しかったこと、思い出深いことなどを話して、何度も何度もありがとうと伝えました そして、最後に一番伝えたかった事 『お願いね、なるべく早く迎えに来てね』 『忘れずに、必ず迎えに来てね』 泣きながら伝えると 夫も赤ちゃんのような泣きそうな笑顔で、何度も頷いて こんな力が残っているのかと思うほど、強く強く私の手を握ってくれました もしかしたら夫も離れるのが辛くて このまま手を繋いで同じ所へ行きたいと思っていたのかもしれません 最後まで同じ気持ちを共有できたこと、こんな大切な時間が持てたことに感謝しています あまりに静かに穏やかに我が家で過ごす二人での最後の夜も明けて、つい10日前まで夫が履いていたスリッパを玄関に揃えて、朝を迎えることになります たぶん私の命が終わる日まで鮮明に覚えているであろう、一年前の今日 穏やかな春の陽気に満開の桜の花びらが舞う姿を見ると 夫が穏やかに見守ってくれているように思います そして一年たったけれど、最後の約束のお迎えはまだのようで・・・ それは、たぶん私に 『もっと楽しんでよ』なのか『もっと世のために働くのだよ』なのか、もう少しこの世ですることがあると言っているのだと思います 成すことができればきっと、夫は私を迎えに来てくれると信じています 最後の我が家での約束があるから 今日もご訪問をありがとうございました いつも応援をありがとうございます 今日も宜しくお願いします(*- -)(*_ _)ペコリ ⇩ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.03.28 20:30:06
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