いつまでも…二人で

今日、見慣れた風景の中を歩いていた時
急に壊れたビデオのように、一瞬　時が止まったような感覚に襲われました

なんだか、心の真ん中にぽっかり空いた穴の中を
風がビュンーと吹き抜けたような

何とも言えない
心寂しい、心がヒンヤリとするような感覚に襲われて

目に映る人々が、異次元の世界の人のように感じて
私だけが、今の時間に取り残されてしまったような

とても変な気持ちに襲われました


夫を見送ってから、悲しいとか辛いという既製の言葉では言い表せないような
落ち着かない冷え冷えとした時間を過ごしてきましたが

今回は、また初めて経験する感覚に襲われたのです



・・・・・甘かったな

そうです

私は、悲しみに少しずつ慣れて
一人暮らしにも少しずつ慣れて

そして、たいした幸せには巡り合わないだろうけれど
それなりに落ち着いた時間を過ごせると

だから、辛い時間はじっと耐えて
毎日毎日、小さな一歩でも前に進んでいれば

今よりは、マシな時間がやってくる

そう信じて、今日まで唇を噛みしめて耐えてきたのです




この考えは、甘かったのですね


いくら耐えても


悲しみや、一人の生活に慣れてきても
その空いた場所には、孤独という魔物が滑り込んでくるのですね


その魔物は、ジワーと空いた隙間に残すことなく滑り込んできて
じわじわと心を侵食していくのですね



いくら耐えても
いくら、一人の時間を持て余さないように過ごしたとしても

その努力が報われることなく
孤独という魔物に姿を変えて、居座るんだということを
今日、悟りました・・・



一人だということとは、少し違う孤独

人と言う字が、二本の棒が支え合っているように
この間まで、、支え合って立っていたのに
一人になって、風が吹かなくても立っていることは不可能な一本だけのか細い棒きれ・・・


そうなのです
私は、何の支えもない　か細い１本の棒きれだったのです



そういうことに
今日気付かされて


何だか、少し足がすくんでいます


これも、また慣れで何とかなるのでしょうか

そうか、パタンと倒れた方が楽なのでしょうか

自分だけを気遣って生きていけばよいと思っていたけれど
そういうことは、できなのかもしれない

自分を大切にするということは、直接できないのかもしれない
それは誰かを通して、誰かのためにしたことが回りまわって自分に返ってくるのかもしれない

この一年、自分にご褒美を何度かしたけれど
自分が買ってきたケーキを、自分一人で食べても
どんな味だったか、記憶に残らないのです

夫のために買ったケーキや、お土産として買って帰った大福はそれはそれは美味しかった

同じものを何度買って帰っても、あまり美味しいと感じられませんでした


孤独とは、こういうものなのです

夫と一緒に食べたものと同じものを食べても、
美味しいと感じられない

楽しいね、と言って二人で見た『孤独のグルメ』が全然面白くない
おじさんが、ただご飯を食べているだけにしか見えなくなってしまっている・・・

眠る時も、あの心から感じた安心感が全くない
ご飯を食べても、『不味い』ことがないから美味しいのだと思う感じしかない

そう、すべての物に感動や心が動くことがないのです

これが魔物のような孤独なのですね


寂しさや、悲しさの陰で見えていなかった最大の敵は

この、魔物だったのですね


一年と少しで、ようやくその姿が見えてきました



さて、


この魔物とこれからどのように付き合っていきましょうか・・・














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