いつまでも…二人で

今年は、ぼんやりしていたので気付くのが今日になりました

11月1日は、お茶室の炉開きの日で、この時はお善哉を頂くのですけれど
今月のお菓子は『亥の子餅』を頂きます
和菓子屋さんでお店ごとに形は違いますけれど可愛いウリ坊の形をしています

亥の月の亥の日亥の刻に、食べられる無病息災の儀式だったそうです




断面です
粒餡がぎっしりで薄いお餅にはニッキと黒ゴマがはいっていました




こうして、行事ごとを行っていれば、自然と時は過ぎていきます


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10年ほど前に、お仕事を通じて知り合った女性が居ました
私より年上で、再婚を機会にこの街で暮らし始めて
5年ほど経つとおしゃっていました

その方の再婚相手のご主人は、定年を前にして奥様と死別されました

彼女は、お子さんが小学低学年の時に、
好きな男性ができてお子さんを夫側に残して
駆け落ち同然に離婚されて、その後その好きだった相手とは添い遂げられず
独りで暮らしていたところに、死別されて元気のなかったご主人と巡り会って
結婚されたそうです
年齢差は、一回りと少しとのことでした

それより、少し驚いたのが結婚届と同時に
遺言書を書いてもらったと仰ったことです

ご主人には、成人された息子さんが二人いらっしゃるので
家をどうしても残してもらわないと困るから、と彼女は明るく話していました

当時、私はまだ死別とか具体的に考えたこともなく
私にも義理の長男・長女さんがいらっしゃるけれど
夫の財産が欲しいから、遺言書を書いてもらおうなんてこと考えたこともないので
とてもビックリして返事ができませんでした

その後、私には気を許されたのか愚痴を仰ることが多く
ご主人が、いくらぐらいの預貯金があるのかわからないとか
日常のお買い物費用くらいしか、家計費を渡してくれないとか
お金にまつわる話ばかりしていらっしゃいました

私からすれば、お金目当てで結婚されたように
だんだん思えて来て・・・

きっと、ご主人もその辺のところは勘付いていらっしゃるからこそ
財産について話されなかったのではないでしょうか

確かに、夫婦は死別したときに二分の一の相続権があります
離婚の時の財産分与の考え方とは、立法趣旨が違いますけれど
ご主人の財産は、退職直前に亡くなられた奥様と力を合わせて築かれたものです

その奥様が亡くなられて、彼女はその時その場に居合わせて
その後に後妻になられて・・・

ご主人の財産の事ばかり仰ると、もう、財産目当て？なんて思ってしまいました

その彼女が、私の近くにいらっしゃった頃
ご主人が新車を買われたそうで、その新車が納車された時
慣らし運転で、亡くなられた奥様のお墓へ報告に行かれたそうです

このエピソードを聞かされた時

とても複雑な気持ちになりました

大きい買い物をした時に、亡き妻へ報告へ行かれるご主人のお気持ちに胸が熱くなるようで
きっと亡くなられた奥様と、たくさんのエピソードをお持ちなんだろうな…と

それを、少し悔しそうに話す彼女

この方の結婚は幸せなのかな、と思ってしまいました


5年前くらいに、彼女は私の前から姿を消しました
引っ越したりしたわけでもなく、生活は変わっていませんでしたが
彼女に対する私の不審な気持ちが伝わったのだと思います


私が死別者になって
この彼女の事を良く思い出すようになりました

懐かしいのではなく
彼女のご主人は、どんな思いで再婚されたのだろうかとか

自分の財産を明かさず、そしてなるべく減らさないように堅実な生活をしながら
再婚相手の彼女の『おねだり』をどのように感じていらっしゃるのだろうかとか

結婚届と同時に、遺言書を書くときの気持ちはどのようなものだったんだろうとか

寂しさを紛らわすために結婚されたのだろうかとか


どんどん、死別者のご主人の気持ちを知りたくなって
良く思い出すようになったのだと思います



私だったら、夫がメインで築いてくれた財産を
新たなパートナーに譲るなんて考えられないです

譲る相手は長男さんと長女さん
そうでないと理屈が合わないから

理不尽なところに紛争の火種が隠れていると思っています