ライダーハウス
以前は道内あちらこちらに無料~寸志の格安でとまれるライダーハウスがありました格安のライダーハウスにはお金は無いが時間はたっぷりある学生や若者のライダーが沢山集まってきてたものでしたライダーハウスの壁には季節アルバイトの張り紙が貼られ隅っこに置かれた大学ノートは書き込みや情報で溢れオーナーも趣味でやってるような方が多くて 夜な夜な宴会が繰り広げられる不思議な世界でした表示は『みりん』だけどぎりぎり焼酎!の怪しい飲み物で酔っぱらった夜もありましたバイクに一升瓶括りつけて持ってきて皆にふるまってる人もいましたそんな怪しい空間が好きで夏休みに道東のライダーハウスに連泊しながら生活したことがあります夜は大部屋で各自寝袋に包まって雑魚寝になりますそこのライダーハウスは連泊者がたくさんいました近郊の野菜農家の手伝いのアルバイトしながら何泊かしてガソリン代を稼いで行く学生が多く宿泊していました私もキツイ大根抜き部隊に混じってバイトしていましたバイト泊はお互い話もするし気心も知れるので 皆が寝る大部屋の横の土間部屋で丸太の椅子に座布団をひいて 焼酎割でオーナーと毎夜飲んでましたそんな中にもの静かな私より少し年上の感じの人が混じっていましたもう長く逗留しているようでバイト組のなかで一番の古株ですでも話しかけても出身地も名前も歳もなんとなくはぐらかされてだれも知らないままでしたオーナーが名無しのゴンベさん略して『ゴンさん』にしようと宣言し彼のあだ名はゴンさんになっていましたゴンさんは一心不乱に働く方でしたので 一緒に組むと心強く頼りになる仲間でしたあまり酒は飲まないでみんなが酔っ払っていくのを楽しそうに眺めてる人でしたある晩珍しく酒の入った彼はあまり酒は合わない体質だったのか早々と先に寝ます~と奥の広間に消えていきましたゴンさんが消えた後謎のゴンさんの話題でもりあがったりしてましたがオーナーはゴンさんの事をよく知ってるみたいでまあ あまり詮索しないでそっとしておいてやれや~っ いろいろあるんださ~といった感じで語っていましたお開きになってみんな広間に戻って寝袋にもぐりこんで寝息立て始めたとき・・私は隣の寝袋がゴンさんのだと気がつきましたゴンさんは私に背中を向けて寝ていましたその時・・「 どうして こんなになっちゃったんだろうな~・・」と呟く声が聞こえてきましたはっとした私が体を起こしかけた時 再度とても悲しそうな声で「どうして こんなになっちゃったんだろうな~・・ 」と涙声が聞こえてきて 私は間抜けにも「 ゴンさん 具合わるいんすか? 」と聞いてしまい はっ と固まったしたゴンさんはそのまま寝てしまいました翌日が私の最後のバイト日だったのですがたまたまゴンさんと組むことになっていました汗かいて昼ご飯の時 珍しくゴンさんから話かけてきて「昨日 オレなんかいってた?」と聞かれてしまい 慌てつつも「いや~なんか 寝言いったたみたいですよ~」と返してそれ以上深い話は無いままバイトを終えてしまったのでした私はバイト代を貰うと日の高い昼でハウスを出て行きますゴンさんとは今宵はもう会えません何か声をかけなきゃ!と理由はわからずに考えてて最後に見送りにきてくれたゴンさんに 「 ゴンさん やるっきゃないですよね 」 って言ったら「 そうだな やるっきゃないよな 」って言って笑ってくれました