小さなまちから世界をみる

最近ふらっと立ち寄った古本屋さんで、強く心を打たれた本に、今、はまっている。

タイトルは　「強い自分」を引き出す本

大正１３年、中国上海で生まれ、京大文学部を中退し、教員生活１年半の後、中日新聞に入り、韓国や西ドイツの特派員を経験し、のちに著述業に専念している櫻木健古（さくらぎ　たけふる）氏の２０年前の著作。

私は常に、強い人間になりたいと思ってきた。
肉体的な強さではなく、精神的な強さだ。

これまでの人生で、普通の女性が経験しないようなことも含めて、良くも悪くもいろんな経験をしてきた。
何度も泣いて、何度も怒って、何度も絶句した。
もちろん、その数以上に、何度も笑って、何度も喜び、何度も感動した。

その度に、私は確実に、精神的に強くなってきたと思う。

でも、その強さは、まだまだ未熟だ。

櫻木氏が提唱する「強さ」を引き出すための鉄則を参考までに記すと、

鉄則その一　　格に入って格を出でよ
鉄則その二　　不満なき心を"建設”せよ
鉄則その三　　自分に頼る"強さ”を身につけよ
鉄則その四　　"自己拡大”への意欲が己れを鍛える
鉄則その五　　「足るを知る」心が"強さ”を生む
鉄則その六　　「事（つか）える」心が「気」を生み出す
鉄則その七　　「小事に忠」なる心を持て
鉄則その八　　「実才」は困難にぶつかってこそ磨かれる
鉄則その九　　自分に合わない仕事を歓迎せよ
鉄則その十　　「受け」の能力が積極性を創る
鉄則その十一　「自分の仕事」が"陽気"を生み出す
鉄則その十二　敵をつくることを恐れてはならない
鉄則その十三　「望む」は弱き心、「志す」は強き心と知るべし
鉄則その十四　自分を知り、尊び、そして信ずべし
鉄則その十五　きびしい「境遇」を歓迎せよ
鉄則その十六　"信"を求めて"寵"を求めず
鉄則その十七　「水の強さ」を身につけよ
鉄則その十八　人生は一世一代の舞台である

この十八の鉄則の各論として、様々な事例や著名人の格言を取り入れて、「強さ」とはどうあるべきかと説いている。

これまで、私は何かの壁にぶち当たると、必ず困難な道を選んできた。
父が生前、女だからといって、甘えるな。困難には、まずぶつかってみろと、よく背中を押された。
逃げることは、何よりも自分のためにならないからだ。
困難にぶつかってこそ、修行にもなるし、潜在能力が引き出される。
正に、櫻木氏が説いている道理そのものだ。

「よろしく身を困窮に投じて、実才を死生の際（きわ）に磨くべし」　勝海舟
困窮とは、金銭的なことよりも、「のっぴきならぬ立場」「背水の陣」といった意味合い。
勝海舟は、理屈の多い、頭の働きすぎる人間を「役立たず」と非常に嫌ったそうだ
必要なのは「実才」で、活社会で活きてはたらく能力。それは困難に身を投じてこそ、初めて真に磨かれる。「死生の際」とは、「ことの成る、成らぬの瀬戸際」的な意味合い。
と、櫻木氏は説いている。


ここ数年の困難に疲れて、楽な道への誘惑に流されがちな自分を反省して、波乱万丈でも、自分が磨かれる道を、再び選び取って行こうと思っている。

だって、人生、その方が楽しそう。
困難を乗り越えてこそ、多くの人を思いやり、愛する心が磨かれる。
そうすることが、自分をも救える最善の道に違いない。


今日で、またひとつ、歳を重ねた。

困難を求める心の強さを、また一年分、増していきたい。