空のオルガン

　先日母と話していて、
「私は小さいころから引っ越しばっかりだったから、今でも２月３月はそわそわする。
　次はどこだろうって、ずっと考えるし、今一応ここに落ち着いてるけど、１か所に
　落ち着く暮らしをしてこなかったから、これはこれでしんどい。」と言ってみたら、
「そう？そんなん小さい時の事やから、とっくに忘れてると思てたわ」と軽く言われた。

　忘れてる？
　あなた、私が転校ばっかりで成長するごとに抱えるものが大きくなっていったのを
見てきたでしょう？人との関わりに見切りをつけた事をわかってない？
　忘れてるどころか、私の軸になってる。

　親を責めるつもりはないけど、全然わかってもらえてなかった事に驚いてる。
　幼なじみというのが全くいないので、幼少からこれまでを通して見てもらえる人というのが
いない。唯一、親は私の人生を知っていると思っていた。全部は知らなくても、主だった出来事や
ターニングポイントになった事は把握していると。

　些細な事として認識されているんだ。ふーん。
　母との距離がものすごく遠くなった。