空のオルガン

ちょっとした依頼を受けた。正直、受けるつもりはなかった。
　依頼主とは面識がない。立派な肩書をお持ちのようだが、それだけではどんな人かわからない。

　やや警戒心をもって構え、断るつもりでいた。
　まず自宅を訪ねてきたらしい。たまたま皆出払っていて、対応できなかった。後日、手書きの丁寧なお手紙を頂いた。それを読んで、話を聞いてみようと思い立ち、こちらから連絡を入れた。
　肩書に胡坐をかく人ではなかった。全く（考えてみれば、そんな人なら私に声などかけないだろう）。初対面にもかかわらず本題ではないところで話がはずみ、気づけば１時間経っていた。

　この人のお役に立てたら嬉しいな、と思った。新しいご縁をありがたく思う。
　受けたからには頑張らねば。　

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