マッキーの好きな世界
「おかーさん、自分の好きなものってやっぱり知らんうちに同じになるんやね~」とは小2の息子談。先週、学校の図書室で借りてきた本と、きのう新たに借りてきた本の作者が偶然、一緒だったのだとか。自分は絵を見て、あ、おもしろそーと即決したらしく作者のところは見なかったのだと。息子はとにかく絵を描くのが好きなので、図書室で選んでくる本も読みものというよりも、自分好みの絵が載った絵本が多い。色彩の巨匠、はらぺこあおむしのエリックカールに始まり、ちょっと皮肉めいた独特のタッチが印象的なスズキコージさんや飯野和好さんを借りてくるかと思えば、優しくかわいい雰囲気のぐりとぐらの中川李枝子さん、バムとケロの島田ゆかさんの世界もいまだに好きだし、かといって水木しげる先生の世にも奇妙な妖怪シリーズもこよなく愛していて一貫性は全くない。今回、二回連続で借りてきたという絵本は、西村繁男さんという作家のかたのもの。これは以前、私が一目で気に入って買った「おふろやさん」という、町の銭湯の様子がほのぼのと丁寧に絵だけで綴られた絵本がうちの本棚にあったからで息子もいつの間にかこの本を大変気に入り、よくめくっていた。そして気がつくと、あろうことか勝手に各ページの空いたスペースにボールペンの下手くそな字で、それぞれの場面に合わせた自分なりの台詞まで書き込んでおり、ちょっとムッとしたのだが、まぁ許した。そんな西村繁男さんの絵はどこか懐かしくて優しくて細かな描写に感動する。隅々まで見尽くす楽しみにあふれている。それだけで十分なストーリーが想像できるのだ。ぼくらの地図旅行という本の次はおばけでんしゃ。愉快な風貌のおばけたちがたくさん乗車した電車が終着駅に着く頃は、それぞれ人間に化けているというもの。その変身ぶりが楽しくて一緒にすみずみまで眺めた。そんな息子の最近の力作を紹介します。ある日突然、色鉛筆でこんな絵をさらさらと書いた。何を見て描いたのでもない息子の心象風景。タイトルは「春の農業、美しき太陽」なんだそうで、最後に私の部屋から筆ペンを持ってきて、ちょっと気取って書き入れた。多分、私の普段の仕事を真似ているつもりだろう。さんさんと大きな太陽が輝く中、のどかに農作業に精を出す人々と、なんだか楽しげな動物たち。どこまでも牧歌的な感じが息子らしくて、見るたびについ微笑んでしまう。