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語りと筆しごと~書家香玉のうずまき帖

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2022年08月19日
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故郷・田川の中学2年生を対象に毎年夏休みに開催されている福岡県の主催事業【田川飛翔塾】
光栄なことに2015年より毎年、講師として参加させていただいています。


例年、私にとっても子供の頃から馴染み深い思い英彦山青年の家にて約1週間の合宿スタイルで実施されてきましたが、コロナにより去年、一昨年は中止。今年は実に3年ぶりの開催となりました。


私の担当は【ネームズストーリー】14歳と描く自分像、それぞれ自分の名前の文字をモチーフに作品を仕上げる筆文字ワークショップです。

準備としてまず私が行うことのひとつが、参加者全員のお名前の文字を私の書で筆書きすること。
作品制作をしてもらう同じ画仙紙貼のポストカードに一枚一枚、名前を書いておき、当日ホワイトボードにはり出します。これは私からのささやかな贈り物。子供達は毎回喜んで自分のお名前を探してとります。そこからもあらためて、名前の文字から浮かぶイメージを感じてもらうことができたら。。

そして、制作の前に子供たちに出す宿題は、自分の名前の由来、命名の想い、文字の意味等についてリサーチしてくること。これがとっても大切な作業になります。




さて、それぞれの想いを自分の筆でカタチにします。ただ親しみを込めて自分の名前の字を書くだけでもいいのです。必ずしも名前の通りの人間でなくてもいい、名前の文字はこうありたいという理想像であってもいいし、最も身近で自分を守ってくれるお守りの文字であると考えられます。

命名してくれた人への感謝の気持ちも一緒に筆に託すことができたら、最高。

限られた時間内でいかに彼らの創作意欲をかきたて、作品完成までもっていくかが毎回の私の課題だけど、今年は今までで1番手応えを感じました。





なんだかいつも以上に、それぞれの子供達の作りたい気持ちがビシバシ伝わってきて、こちらがびっくりするほど個性的で活気に満ちた素敵な作品が次々と生まれました。

本来、みんなで寝食を共にする合宿スタイルがこの事業の1番の魅力なのですが、実は今年はそれは叶わず、感染予防対策として、田川地区のいろいろな中学校からエントリーした子供たちが、田川市にある福岡県立大学に毎日通って講義を受けるという異例の通学スタイルとなりました。

ないよりはマシだけど、なんとかわいそう!
せっかくの夏の思い出が!!

だからせめて、私の時間は例年以上に楽しい時間にしたいと私も力が入っていました。




みんなはお互い初対面だから早く仲良くなって自分のことを知ってもらえるような看板にしよう!また、今日という日は今だけだから14歳の自分の記念になるように。それはきっと大人になっても大切な宝物になるはず。名前の文字は生まれたときからずっとそばにあり、あなたの存在を光らせる御守りの字。

そんな話をしながら、100分間を配分し、構想から着色、墨字詩作、押印、額入れまで。

ただ、墨字を書くだけでなく好きな色も重ねたらもっと楽しいかもと前々回くらいから、書に入る前にパステルで背景を作る作業を加えたのですが、これが今回もとてもよかった。

力いっぱい手を染めて、たくさんの色を全面に重ね塗る子、端に少しだけ綺麗なグラデーションを作りアクセントに入れる子、名前の文字のイメージに優しく添えていく子、パステルを削って宝石のように散りばめる子、色を入れずにあえて白でいきたい子。
こちらが何も促さなくとも、みんな、自分はこうしたい!!というのがしっかりあった。すごいすごい!











マスクでたくさん話をするのはとても息苦しく、汗だくになりながらも、嬉しくて私もハイテンション。
本当に楽しく有意義な時間となりました。


僕の名前は旬哉。
そういって、旬のみずみずしい野菜のようなグリーンを下地に重ねていた男の子。
綺麗やねえ。旬はみんなに喜ばれるよ。フレッシュだし名前にぴったりの色やねーと声をかけると、にっこりしたその子は、こう話してくれました。

実はね先生、親に聞いたら、もともと僕がお腹に入っていたときお母さんが筍がりにいって、筍をおいしく食べて、僕もお腹が居心地良かったのか、なかなか出てこなかったって。
で、筍が旬という名前になったらしい。

へー!!そうなん、可愛い!!
いい名前をもらったねー
そしたらきみは、たけのこぼーややね!!と言ったらみんなが大爆笑して照れ臭そうだったので、それに竹は強いし、高く伸びるし、すくすく大きくなれるねと付け加えところ、それそれ、そーなんよ。先生とおんなじことを親が言ってました!!と満面の笑み。

で、もう一枚のハガキに書いたのがこれ。下手くそですけど、竹の絵を描いてみましたって。
もー泣きそうになりました。

本当はみんなの表情も見てもらいたいですが、手元のみで。14歳の感性をここに載せておきます。


数年前より、田川飛翔塾オリジナルの印も作ってもらいました。朱印を押せばより作品がしまります。






ネームズストーリーの制作を始めて今年で16年目。贈りたい人の想いを代筆できるよう努めてきたけど、もしかしたらこの活動の本当の意義はここにあるようにも思えてきました。
地元だけの活動にとどまらず、私なりのネームストーリーのワークショップ活動をもっと広げて行きたいな。そんなふうに思える1日となりました。



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最終更新日  2023年01月18日 08時53分20秒
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