|
カテゴリ:映画をめぐる冒険
船上から煙突の群が見えると、誰かが『大阪だァ!』と叫ぶ。
冒頭、朝鮮半島から日本へと、移民の光景である。 茫々とした水平線の彼方に自由の女神が浮かび上がり、 『アメリカだァ!』。 シチリアからやって来たヴィト・コルレオーネを思い出す。 『家族を大切にしないものは男ではない』とヴィトさんは言っていた。 金さんには、そういうことは思い付かなかったみたいだ。 ヴィトさんだって人殺しをしているけれど、 狂気の大樹の陰で、周囲の人間は、 僅かでも夢を見られるひとときがあったかも知れない。 金さんの場合は、さんざんな悪夢の連続だった。 でも、『狂気』というのは、どの一族にも、いつの時代にも、 必ず一人くらいは現れてしまうものなんじゃないだろうか? そして、片方に熱狂があれば、 もう一方には冷徹な狂気がそれを見ているんじゃないか? 常人は右往左往するばかりかも知れないが。 いや、というよりも、結局は誰の中にでも、『狂気』は眠っている。 環境によって『たが』が外れることがある、ということになるかな。 あれじゃ、みんなが辛かっただろう。 「お金に執着する人生は、失敗の人生だと思う」 と車谷長吉がある鼎談の中で発言していたが、 確かにそればっかりじゃ苦しかろうよ。 一方『赤目四十八瀧心中未遂』は、小説に忠実な感じ。 特に言うことはなく、小説に尽きる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Apr 10, 2005 01:31:51 AM
コメント(0) | コメントを書く
[映画をめぐる冒険] カテゴリの最新記事
|
|