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カテゴリ:サッカー
「俺達は、眠りながら目覚め、目覚めながら眠っている。過去は事実か?記憶は真実か?夢はどこから夢なのか?寝ながら見る夢、起きていて見る夢、どちらも同じだ。夢を見ないという奴は憶えていないだけ。夢がないという奴も気付いていないだけ。臆病なのさ。見たいくせに見ないようにしてるだけなんだ」
(「ディドリーム・ビリーヴァー」:COWBOY BEBOP session XX『よせあつめブルース』part20) ようやく明日で仕事納めです。僕も一年の終わりを仕事の終わりで感じるようになってしまいました。これを「成長」と捉えていいのか、「敗北」と捉えていいのか、正直なところ、まだ分かりません。 思い返してみると、なかなかいろいろなことがあった一年でした。せっかく日記にカテゴリがあるのだから、それに沿って振り返ってみます。 まずは「自転車」関連。残雪のふじあざみラインでの徹底的敗北、自転車通勤の終わり、富士ヒルクラの寒さ、富士チャレ終了後の寂寥感…自転車の見せてくれる世界が、僕の中に塵芥以外の何物かをもたらしてくれている。そう信じたいところです。 「山」関連。山歩きは日記に書かなかったのも含めて12回くらいだったと思います。やはり、今年の一番の思い出は、常念岳山頂から見た世界と、その世界を見るまでの寒さでした。今でもときどき、まぶたの裏によみがえってきます。そして、あの光景がよみがえると同時に、耳の奥に風の音が聴こえてきます。何かの病気になってしまったようです。 「そしてこれはただの幻影だ。見えざる手に操られ、真実は分厚いベールに覆われたままだ。でもそれはひっそりと、まるでタイタンの月のように人知れず存在し、砂嵐が過ぎ去った頃いつか姿を現すだろう。 (「君の意志のままに」:COWBOY BEBOP session XX『よせあつめブルース』part21) 「バイク」関連。事故に遭うことも無く、深刻なトラブルも無く、一年を乗り終えられそうです。今年一番の旅は、お盆に「イーハトーブ」こと岩手県の花巻、遠野に三泊四日のキャンプツーリングに出かけたことでした。総走行距離約1500km。宮沢賢治、柳田國男ゆかりの地を思う存分走り回り、写真を撮りまくって楽しんできました。たくさんの人と出会い、語りあうことができました。 賢治の墓参りもできましたし、何より幸運だったのは早朝の羅須地人協会跡地にて、お祖父さんが賢治と同級生だったという男性から、賢治についていろいろと聞けたことでした。「下ノ畑ニオリマス」と賢治が板書した、まさにその畑を見下ろしながらお話を伺えたことは、まさに僥倖でした。さらに幸運なことに宮沢賢治記念館には生誕110周年記念ということで、「風の又三郎」の自筆原稿の特別展示があり、また宮沢賢治イーハトーブ館では、本来会員しか入れない図書室に入れてもらい、古今東西の賢治の研究書や賢治の作品に触れることができました。利用者は僕ひとりだけ…至福のときでした。 福島に住んでいたときは幼すぎて分かりませんでしたが、東北の人々の持つあたたかさにふれられたこともとてもいい体験でした。東北自動車道の120kmの渋滞も、突然の豪雨も、今となっては良い思い出です。 「本」関連。100冊も読めなかったと思いますが、今年一番面白かった本は、古川日出男の『ベルカ、吠えないのか?』でした。人から獣へ、というアプローチは多くの作家がしていることですが、獣側から20世紀の歴史を振り返るという視点は、多くの示唆に富んでいると思います。さらに、ちくま学芸文庫の『宮沢賢治全集』を揃えて、あらかた読むことができました。ブックオフでプルーストの『失われた時を求めて』と『坂口安吾全集』を新古品で運よく手にいれらたので、来年はこれらにとりかかりたいです。 そして、「サッカー」。サンチャゴ・ベルナベウでのジダンの引退、バルサの二冠もありましたが、やはりW杯の熱狂と睡眠不足の日々が思い出深いです。ブラジル戦でのジダンの輝き、そして衝撃の幕引き。思い出すとモヤモヤしたものも同時によみがえってきて、いまだにあの事件を消化しきれていないことを感じます。サッカーというものは、そういったものも含めて、サッカーなのでしょう。われらがヤナギの「QBK」が流行語大賞に選ばれなかったのは残念でしたけど。 だからもう、たかが娯楽に目くじら立てたりするのはよそうじゃないか。これは冗談なんかじゃない、フィクションでもない、それとも俺は悪い夢でも見てたのか? (「怒りをこめて振り返れ」:COWBOY BEBOP session XX『よせあつめブルース』part22) 「日日是好日」。ガンデジを購入して、いろいろな瞬間を切り取ることができるようになりました。レンズが見せてくれる世界は、確実に僕のものの見方を変えてくれました。それは同時に、あまりに多くのものを見過ごしてきたことに気づくことでもありました。もっと思ったとおりの写真を撮れるようにがんばりたいものです。 そして、いくつかの死。 先日JBが亡くなってしまいました。あまりに偉大すぎて「死」ぐらいでは彼の音楽は微動だにしないのでしょうけれど。夏にはソプラノ歌手のエリザベート・シュワルツコップが亡くなりました。20世紀を代表する歌姫で、僕の一番好きなレコードのフルトヴェングラーxバイロイト祝祭管弦楽団の『第九』でも、彼女がソプラノパートを歌っています。 衝撃だったのは山崎典子さんの死でした。昔やっていたアルバイトでお会いしたことがあっただけなのですが、柵を越えて自由を探しに行ってしまいました。 「すばらしき この時代 まだまだ マロは帰らない」 帰る?何処へ?どうやって? 今でも考えてしまいます。 「どっかのブルースマンが、ブルースの定義をきかれてこう言ったそうだ。『ブルースってのは、どうにもならない困り事を言うのさ』」 (「ブルーにこんがらがって」 COWBOY BEBOP session XX『よせあつめブルース』part23) あと、三日で今年も終わりです。 今日も空は青くて、透明な風が吹いていました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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