3/17 斉藤一也 (p)
東京文化会館小ホール 11:00~ 東京文化会館・モーニングコンサート・シリーズの一つ。国別のようで、今回はロシアだとか。 ここ最近、毎夏行われる東京音楽コンクールの第4回(2006年)ピアノ部門で1位無しの2位を獲得した、現在高校生。 たまたま他に予定があって、朝なら空いてるし、ロシアものばっかりだし、ちょっと行ってみようかな、という程度のつもりで行って来たものです。で、ええと、つまり、プロでしょ、というには気の毒で........なので、書くのやめようかなー、と思っていたのですが、思いの外よかったので書くことにしました。 曲目は、チャイコフスキー「ドゥムカ -ロシアの農村風景-」op.59、ラフマニノフ「練習曲集"音の絵"」op.33-1,2,4,5,6,op.39-8,9、スクリャービン「ピアノソナタ3番」op.23。 MCが入るんですけど、もうなんていうか普通の高校生が数百人の知らない人相手に一人で喋るもんだから上がっちゃって上がっちゃって....(笑) ところが、マイクを置いてピアノに向かって深呼吸すると、途端にしゃきっとするのは流石にお見事。 演奏も悪くは無かったです。一番良かったのは「音の絵」かな。これを言っちゃぁ気の毒なのだけど、全体的にロマン派の技巧が目立つ難易度高めの曲が続いていて、正直言うとちょっと飽きちゃうんですよね。だから、スクリャービンあたりになるとちょっと曲に負けるという(弾けているけど、という奴ですね)感もあり。でも、ラフマニノフは、技巧も目立つけど、同時に相応に詩情も要求されるので、その辺まずまず出来ていて、聞いていて一番音楽的に充実度が高かったかな、と思います。 でも、敢えて言えば、同じではないけど、割と似た性格の曲が続いてしまうプログラムは、ちょっと惜しかったかも。出来れば、スクリャービンもいいけど、ショスタコーヴィチの前奏曲とフーガからとか、そういうのでメリハリを付けてくれれば面白かったかも。 でも、高校生ですからね。まだ。キーシンみたいな連中もいるけど、ああいうのは本当に特別なんであって、正直、1時間のハーフコンサートとはいえ、ちゃんと構築してもたせられたのは立派です。何の関わりあいもなく出掛けて行って、500円とはいえお金払って、音楽的に一応損はしなかったな、と思える、というのは結構なことだと思います。これからレパートリーを作っていく上でもっと幅を広げていけばいいし、そうすることが出来るだけの下地はきっとあるのでしょう。 あ、アンコールにメンデルスゾーンの「春の声」。一箇所ちょっと派手なミスタッチがあったけど、それはまぁご愛嬌。こういうのも含めて、古典もきちっと聞かせられるようになれば、いいですね。