1/5 新国立劇場オペラ・バレエ ニューイヤー オペラパレス ガラ
新国立劇場 14:00~ 4階中央 然し毎度のことながら誰か止める奴ぁ居なかったのかねこの名前<オペラパレス<まだ言ってる 第1部:バレエ J・シュトラウス:「こうもり」序曲 「アンド・ワルツ」(ラヴェル "高雅で感傷的なワルツ") J・シュトラウス:チクタクポルカ(間奏) 「こうもり」より グラン・カフェ 第2部:オペラ 「私は町の何でも屋」(ロッシーニ「セヴィリヤの理髪師」:A) 「麗しい光が」(同「セミラーミデ」:B) 「オレンジの花は香り」(マスカーニ「カヴァレリア・ルスティカーナ」:合唱) 「星は光りぬ」(プッチーニ「トスカ」:C) カタログの歌(モーツァルト「ドン・ジョヴァンニ」:A) チャルダーシュ(J.シュトラウス「コウモリ」:B) 「行け、我が想いよ、金色の翼に乗って」(ヴェルディ「ナブッコ」:合唱) 「ああ、そはかの人か」(同「椿姫」:D,C) 行進曲と合唱(ビゼー「カルメン」:合唱) 宝石の歌(グノー「ファウスト」:B) <アンコール> 乾杯の歌(ヴェルディ「椿姫」:全員) ソリスト:真忠久美子、山本隆之 他 新国立劇場バレエ団 ソプラノ:アンネッテ・ダッシュ(B)、天羽明恵(D) テノール:佐野成宏(C) バリトン:ドメニコ・バルザー二(A) 新国立劇場合唱団 東京フィルハーモニー管弦楽団 指揮:マウリツィオ・バルバチー二 結論的には、一昨日のNHKガラより流石に良かったな、と。(あれは全席3千円くらいで見せるべき内容だろう......事実上番組制作費客に出させてるようなもんだし) 前半のバレエは、私はあまり色々言えるような者ではござんせんので..... どちらのプログラムも初めて観るものでしたが、楽しかったですね。こうもりの方は、観る機会も無くはなかったのに観そびれてただけに、ちょっと嬉しい。ただ、音楽的には、舞踊としては抽象的でも、前半のラヴェルの方がいいかなぁ。こうもりはやっぱり「オペラ」ですからね、自分にとっては。(「こうもり」再演やってくれぇ) バレエとしては、あまり明るくない自分としては、分かり易い、いつもより余計に回っております~♪いつもより余計に飛んでおります~♪系の見た目派手な踊りの方が好きなのでいずれにせよちょっと.......(おひ) 後半の方は、まぁ、どうだろう.........いけてないのは変わらないです。 日本に限らずなんだけど、歌手のレベルというのはやはり右肩下がりで来てるんだと思うんですよね。加えて日本の場合、オペラバブルみたいなものもあるので、粗製濫造気味で、尚更なんだと思います。 何がそんなに?と言われそうですが、やはり、基本的な事項のレベルが落ちてるんですよね。声量、声域(安定して出せるという意味での)、歌い回し、表現。その全てに於いて。市原太朗とかやっぱり上手かったよなと思うし、私はヴィヴラート多用気味なのが嫌いだったけど林康子だって確かにそれなりのものだった。現役組でも高橋薫子は勿論今でも素晴らしいけど、その後がねぇ... 一昨日のガラに出て来た面々でも、やっぱり福井敬(あまり良くなかったけど)や堀内康雄あたりを標準に置くと、その後の世代の「下手さ」加減が目についてしまうのです。女性陣だって、林美智子や幸田浩子だって、あれ、下手ですよ。今の歌手の中で見ると確かにいい方だけど、やっぱり詰めが甘い。高音域の処理、歌い回しがやっぱり粗い。声量にも問題がある。でも、あれで舞台に十分立てるし、あれで拍手は貰えるから「いいや」ってことになってしまう。改めて思い返しても、まともだったのは森麻季と砂川涼子くらいじゃないかな。選曲については色々あるけど。(いやだから砂川涼子ならミミくらい歌えるに決まってるだろうと) いかんいかん。今日の話だ。 で、今日も佐野成宏が登場。3日は「妙なる調和」で今日明日が「星は光りぬ」。うん、良かったですよ。良かったというのはつまり、声がきちんと出ていて破綻を来さず、音程も安定していて、歌い回しが綺麗に出来ていて歌のフォルムが崩れない、ということ。 「プロなんだから当たり前や!」って突っ込み入れたいんですけどね。本当は。でもそうは行かないという現実............ ドメニコ・バルザーニは、その点、声がちょっと薄かったですかね。バリトンならもう少し深みを持って歌って欲しい。それが歌い回しの破綻にも繋がる。固い感じだったし。代役というのはあるにせよ、残念。 天羽明恵は盛んに喝采を浴びてましたが、この辺が今日の愚痴に繋がるんですよね。 ていうのは、ああは言ったものの、責められないんですよ、拍手喝采する側を。だって、確かにあれだけ歌えれば見事は見事なんだもの。声量はあるし、一応転がってるように聞こえるし、高い声も出てる。声量に載せてそれがびんびん来る。 でもねぇ、やっぱり詰めが甘いんですよ。歌い回しが宜しくない。高音がびんびん来る、その脇をきちっと歌わなければ、ただ「でかい高い声が出る」だけになってしまう。それはやっぱり許せないのですよ。だって、私は歌を聴きに来てるんだから。そこは、潔癖過ぎるかもしれないけど、ちゃんとやって欲しいんです。幾らガラコンサートでも。多少声量を犠牲にしても、きちんと歌として細部まで詰めて欲しいんです。加えて言えば、その「びんびん来る」声が、やっぱり固いんです。本当に声量も音域も余裕のある人なら、そこに柔らかさ、しなやかさが加わって、ああ、凄いなぁ、綺麗だなぁ、となるわけです。そう。この「凄さ」には「凄く綺麗」という美的要素が弱みとしてあるのです。 でも、今は、この人くらい歌えることはやはり「凄い」ということになるわけです。それは仕方ないと思うんだけど、でも、なぁ。 アンネッテ・ダッシュは、確かにあまりよくなかったですね。ただ、これも選曲の問題があるんじゃ?という気がしていて、元々この人はソプラノ・リリコくらいなんじゃないかと思うのです。それを、「麗しい光が」ってのは無理あるんじゃないかと。チャルダーシュも、あまり歌ってないんじゃないだろうか。いい歌い方じゃなかった。ただ、最後の"宝石の歌"は見事でした。歌い回しも良くて、ああ、いい歌を聴いたな、という気持ちにしてくれました。 多分これって一般的な評価じゃないと思うんですよね。特に天羽とダッシュならば、普通は天羽ベタホメでダッシュはダメじゃん、になると思うんです。でも、個人的には、やはり、いい歌を聞かせたのは、打率3割3分だけどダッシュだったね、と言いたいのです。