8/29 軽井沢国際音楽祭2009 室内楽コンサート 1 & 2
大賀ホール 14:00~ (1) / 17:00~ (2) <第1部> ヘンデル/ハルヴォルセン編:パッサカリア ヴァイオリン:漆原啓子 ヴィオラ:安藤裕子 ヴィヴァルディ:クラリネットとバスクラリネットの為のソナタ・ダ・カメラ ポンキエッリ:イル・コンヴェーニョ メンデルスゾーン:クラリネットとバセットホルンの為のコンチェルトシュトゥック第2番 クラリネット:エマニュエル・ヌヴー、郡尚恵 ピアノ:藤田朗子 バルトーク:コントラスツ ヴァイオリン:ジェラール・プーレ クラリネット:横川晴児 ピアノ:野平一郎 シューマン:ピアノ四重奏曲 変ホ長調op.47 ヴァイオリン:小林美恵 ヴィオラ:飛澤浩人 チェロ:ルドヴィート・カンタ ピアノ:大須賀恵里 <第2部> ベートーヴェン:クラリネット三重奏曲 変ロ長調op.11 「街の歌」 ピアノ:小森谷裕子 クラリネット:横川晴児 チェロ:木越洋 モーツァルト:ピアノと管楽の為の五重奏曲 変ホ長調K.452 ピアノ:野平一郎 フルート:宮崎由美香 クラリネット:エマニュエル・ヌヴー ファゴット:霧生吉秀 ホルン:阿部麿 (メンデルスゾーン:弦楽八重奏曲 変ホ長調op.20) 「青春18きっぷでめぐる音楽祭の旅(日帰り)」第二弾(笑) え?「サイトウキネンには行かないのか?」ですって?ええ、だって、サイトウキネンは高いので、青春18きっぷで行くにはそぐわないから。それに、土曜の公演はあまり魅力的じゃなかったし..... とはいえ、軽井沢へは、18きっぷだけではどうしても辿り着けません。新幹線が出来てから、信越本線は横川=軽井沢間で切られているし、別ルートで長野側から入るには、便は悪いし最後は民営化されたしなの鉄道になってしまうし。 というわけで、横川まで行って最後は峠越えのバスになります。このバス、そこそこ頻発しているのですが、軽井沢からの最終便が18時過ぎと結構早い。ので、最後までは聞けないのですが、まぁそれは仕方ないということで..... 前回よりは結構遅めの時間(とはいえ7時台)に家を出て、高崎を目指します。高崎からは信越本線ですが、ここまで全部通勤電車と同じロングシート。なんか、遠出した気分じゃないなぁ..... 横川まで来て、妙義山の異形な山容が見えて来て、漸く「ああ、信州に向かってるな」という気分になったのでした。バスに乗り換えて、峠越え。昼には軽井沢です。しかし、夏の終わりとはいえ、流石に軽井沢は涼しい.....そして、人出も多い.......物価も高い.................. 大賀ホールは二度目ですが、非常にゆったりとした造りのホール。全部で600席のこじんまりとした、室内楽向きで、それはいいんですが、2階の半立見席が今回は閉鎖。一階席も半分も埋まらず、これは全部で200人も居ないのでは......? 確かに、この音楽祭、あまり注目はされていないし、出演者もそう言っちゃぁなんですが綺羅星の如くという訳ではないけれど、ちょっとこれは少な過ぎるんではないの.....?第2部も決して満席ではなく、せいぜい300人くらいだし。 まぁ、確かに、こういう場所でやっているのだから、なかなか集客は苦しいとは思うし、今日は室内楽なのでなかなか席を埋めるのは大変だろうとは思うのですが、それにしても。 今回の楽しみは、先週の木曽音楽祭でもそうだっだのだけど、各種の室内楽を纏めて聞けること。普段でも室内楽を聞く機会が無い訳ではないけれど、どうしても編成は固定化してしまうので。今回、音楽祭巡りをやることにした一因でもあります。 その中で特に印象的だったのは、バルトークの「コントラスツ」。ベニー・グッドマンの為に書かれたという曲で、クラリネットのややスゥィンギーな演奏も楽しいのだけれど、それ以上にヴァイオリンのプーレのエキセントリックな演奏が思わず引き込まれてしまい、面白かった。 もう一つは、第2部冒頭、ベートーヴェンの「街の歌」。この曲を生演奏で聞くのは確か初めてなのだけど、第3楽章の演奏を眺めながら、思わずおかしくなってしまいました。この第3楽章、外題にもなっている「街の歌」を主題にした変奏曲です。例によってベートーヴェンらしく気難しげな変奏もあったりして、難しそうな顔をして演奏しているのだけれど、この主題、難しそうな顔をするにはちょっと能天気過ぎるので、これを見ていると、なんだか悪い冗談のように見えてくるのです。例によって難しそうな顔をしたベートーヴェンが、あの顔のまんまペロッと舌を出してるような、そんな感じ。ベートーヴェンだって、流行歌ではないけれど、流行に乗っかることぐらいするんですよね。後年に至っても、「ウェリントンの勝利」なんてものを書いてるくらいだし。 そういうベートーヴェンって、「お金の為に仕方なく書いた」とか「気晴らし」だとか、本流じゃないよ、本気じゃないんだよ、てな風に言われるのが通例なんですが、思うに、結構面白がってこういうのも書いてたんじゃないかねあのおっさんは、という気がするのです。すぐ「神が」とかなんとか難しく言いたがるけど、さ。この曲に較べると、むしろその直後のモーツァルトの方が精彩を欠くように聞こえてしまうから面白い。 もう一つ、第1部の最後のシューマンも結構良かった。これに限らず、室内楽の中には、録音で聞いているとなんとなく退屈、とまでは言わずともちょっと飽きてくる曲も少なくないのだけれど、生で聞くと結構聞けてしまったりします。こういう時、ああ、やっぱりクラシック音楽というのは生で聞くものだったか、と思ったりするのです。 最後のメンデルスゾーンは終バスの為にパス。丁度満席のバスで横川まで戻って、出来立てほかほかの釜飯を買って、電車の中で頂きながら(帰りは近郊型のクロスシート、夜なのでがらがら)帰って来たのでした。 しかし、軽井沢、「音楽祭」が多過ぎませんか?この「国際音楽祭」の直前には「軽井沢八月祭」というのがあったし、GWには「春の音楽祭」とか、音楽祭の安売り的な雰囲気が....... 国際音楽祭、は、講習会が一つの柱になっているようなので、必ずしもかぶりませんよ、ということなのかも知れませんが、それにしても、ねぇ。