1/28 「小山実稚恵の世界」第12回
オーチャードホール 15:00~ 3階正面 シューマン:パガニーニの奇想曲による練習曲 ラフマニノフ:前奏曲集~ op.32-5,10,12 / op.23-5,6,2 ショパン:12の練習曲 op.25-1,7,6,9,11,12 ラフマニノフ:練習曲集「音の絵」~op.33-2,7 / op.39-5,6,8,9 <アンコール> リスト:3つの演奏会用練習曲~第3曲「ため息」 ラフマニノフ:前奏曲 op.3-2 「鐘」 / ヴォカリーズ(アール・ワイルド編) ピアノ:小山実稚恵 毎年6月と11月の年二回、12年で24回の計画で行われている小山実稚恵のリサイタルシリーズも第12回、折り返しです。オーチャードホールのリニューアルのお陰で、去年11月の分が今年に繰り延べされた公演。自分としては、前回の去年6月が何かに重なったか何かで行けていないので、実に1年2ヶ月振り。 プログラムはラフマニノフとシューマンとショパン。こういうのは、ピアノ好きの人にはたまらんのですかね。個人的にはあまりそそらないかなぁ、と思いつつ行ったのですが、意外と面白かったです。 特に今回面白いなと思ったのは、ラフマニノフ。正直、ラフマニノフはちょっとくどくて苦手ではあったのですが、こうやってプログラムの中で纏めて聞いてみると、存外聞けるものだなと再発見。これには、プログラミングの妙も間違いなくあると思います。前半、シューマンの練習曲の後ラフマニノフを聞くと、そのコントラストの差は驚くほど。シューマンの練習曲が二次元の世界だとすれば、ラフマニノフのそれは三次元。平面的な響きの世界から突如立体的な響きへと変容する。シューマンが若書きということもあるにせよ、やはりシューマンからラフマニノフの間に、いろんなことが変わったのだな、と改めて思い起こさせる、そんな演奏会でした。 ラフマニノフも、それだけ聞いてたり、或いはアンコールでちょっとだけ聞いたりしていると、多分こういう風には聞こえて来ないんじゃないかな、と思います。 勿論、それを聞かせることが出来る小山実稚恵の安定した演奏があってのことなのは間違いないでしょう。 この「小山実稚恵の世界」シリーズは、恐らくは演奏者のプログラムの自由度が高いんだろうな、と思うのです。自由、というほど自由ではないのかも知れないけれど、セルフプロデュースする力量は求められるけれど、その力量さえあれば長期的スパンで何をやるか考えられる。そういう面白さがありますし、それ故に演奏会自体も普通のリサイタルとはちょっと違った構成、期待感があります。 私も全部聞いている訳ではないのだけれど、このシリーズは濃淡はあれど面白く聞けるし、色々な面で勉強になるところもあったりして、出来れば外したくないシリーズになってます。 まぁ、色々ですけどね。比較的安めのチケット代もあってか、お客さんも色々だし。今回も、やたら大声で変なブラボーを発するお客が1階に陣取っていたようだけれど。いや、そういう「変なお客」はこのコンサートに限らず増えてるか、最近は.....