6/19 ドミンゴ&ゲオルギュー プレミアムコンサート
東京文化会館 15:00〜 5階右側 ヴェルディ:「運命の力」序曲 ジョルダーノ:「アンドレア・シェニエ」〜 祖国の敵 ボーイト:「メフィストーフェレ」〜 いつかの夜、海の底に ヴェルディ:「椿姫」前奏曲 「マクベス」〜 裏切り者め!憐れみ、誉れ、愛 カタラーニ:「ラ・ワリー」〜 さようなら、ふるさとの家よ モーツァルト:「ドン・ジョヴァンニ」〜 お手をどうぞ ヒメネス:「ルイス・アロンソの結婚」間奏曲 ゲレーロ:「ロス・ガビラネス」〜 私の村 川の流れのように ヒメネス:「セヴィリアの理髪師」〜 彼らは私をプリモローザと呼ぶ(モンゾ) ペネーリャ:「山猫」〜 私をラファエリロと呼びましたか? (ドミンゴ&モンゾ) ビゼー:「カルメン」〜 ハバネラ ソウトゥーリョ/ベルト:「ソト・デル・パラルの女」〜 幸せな時はもはや ロータ:「ゴッドファーザー」〜 もっと静かに話して レハール:「メリー・ウィドウ」〜 唇は語らずとも <アンコール> ソロサーバル:「酒場の女」〜 そんなことはありえない プッチーニ:「ジャンに・スキッキ」〜 私のお父さん ララ:グラナダ デ・クルティス:勿忘草 バリトン:プラシド・ドミンゴ ソプラノ:アンジェラ・ゲオルギュー、マリナ・モンゾ 新日本フィルハーモニー交響楽団 指揮:フランチェスコ・イヴァン・チャンパ さて。もうなんぼでも書けそうなネタでありますが、ボツボツ書いてみます。 そもそもこのコンサートはどういう素性かというと、話は2020年に遡ります。元々この年6月にパレルモ・マッシモ劇場の引っ越し公演が予定されていたのですが、コロナ禍で翌年に延期。その2021年公演も勿論延期になって、その度に出演者が。ゲオルギュー以外は変更になっていたのですが、2022年はドミンゴを迎えてシモン・ボッカネグラをやる予定が、これも難しかろうということで延期に。ただ、ここまで中止にすると営業的にももう厳しいのでしょう。しかも、ゲオルギューとドミンゴの予定は抑えてあるし、ということで、元々抑えてあった東京文化会館を使って、この二人でリサイタルやっちまえ、ということ。ちなみに2023年こそ本来のパレルモ・マッシモ劇場をやるつもりらしいですが、ボエームと椿姫になるそうで、椿姫のキャストは未定だとか。まだ2020年のチケット持ってるんですけど......3年越しで本当に見に行けるものやら......... ドミンゴが来日するのは何年振りなのか。とはいえ、実は、ドミンゴはこの10年くらいでザルツブルクで3,4回聞いてると思います。今ではすっかりドミンゴはバリトンとして活躍していて、トロヴァトーレならルーナ伯爵を歌うという。今回のプログラムも、見ての通り、基本はバリトンとしてのリサイタル。ただ、コロナ禍の2020年にコロナに罹患して、もうこれは流石にダメなんだろうなぁ....と思っていたのですが。いや、よくも来たものですよ。 まぁ、流石にプログラムとしてはやや軽量級。前半はオペラアリア中心、後半はサルスエラが中心。いや、サルスエラが軽いと片付けていいのかどうかはあるけれど、まぁ、そんな感じですね。その前半も、ドミンゴに関しては、シェニエにマクベス、後の二重唱のモーツァルトは、まぁ、御愛嬌みたいなものですしね。 場内は、高いところ、1階席の両脇や、2階席はそこそこ空いてました。1階の中央はほぼ満席だし、4階5階もほぼ埋まっていたので、まぁ悪い入りではなかったのでしょう。 で、どうだったか? 結論から言ってしまうと、お見事でした、ドミンゴ。 まぁ、元々バリトンとしてのドミンゴは、十分現役ではあるのはよく知っているのですが、しかし、今回はそれに比べてもむしろ良くなっているのではないかと。一体どういうことだと。東京文化会館で、5階の右側結構端に近い方という、決して良い場所ではなかったですが、確かに、ああ、そうだよね、本当にいい歌い手がリサイタルここでやるとこういう風に聞こえるよね、といった感じでした。いや、あそこできちんと聞こえる人聞いたの、いつぶりだろう。 最初の「祖国の敵」を歌い終わってドミンゴが下がった後の場内の異様な雰囲気は独特でした。あのぉ、不思議なことに、この日のお客は皆拍手はするんだけれども、一旦袖に下がるとすぐ拍手やめちゃってたんですが、しかし、一曲目の後のあのざわつきは、やはり、まさかこんなに歌えるとは、っていうことだったのではないかしら。 PA?いや、多分あれは入れていないんじゃないかと思います。ゲオルギューにしてもそうですが、入れてるならもうちょっと聞こえ方が違う筈ですし。勿論スピーカーは設置されていなかったので、今時そういうやり方はしないでしょうから。やるならちゃんとスピーカー置いてやると思いますし。5階の調整室には人はいたけれど、あれは多分音響ではないだろうし。大体、もう81歳だそうで。入れたっておかしくないですもの。でも入れない。入れなくてあれかと。いやはや。まぁ、化け物ですねぇ。 ゲオルギューと丁度二回り違うんですよね。そういうとゲオルギューまだ若いのに....と一瞬思うけれど、ゲオルギューも還暦前なんですよ。そのゲオルギューは、まぁ、文化会館の舞台で歌って聞こえる程度には声はあるけれど、いかにも不安定。音程はふらつくし、テンポも揺れるし。でも、まぁ、グルベローヴァとかを基準に考えちゃいけないのであって、こんなものといえばこんなものなのですよね。恐らくは。やはりドミンゴが化け物なのでしょう。 ただ、ちょっと可哀想かも知れないのは、今回はもう一人サブと言ってもいいソプラノがアサインされていること。この人がまぁまぁ歌えるのです。マリナ・モンゾという人ですが、1曲ソロで、1曲はドミンゴと。アンコールでも歌ってましたが、この人、2016年にROFのランスへの旅に出ていたそうで、ということは聞いてたかしらん。まぁ、ペーザロでのランスへの旅はいわば若手の研究公演なのではありますが、その後フローレスとリサイタルしたというから、そこそこいい歌手なのでしょう。実際、目を見張るというのではないけれど、ゲオルギューがこの調子だと、流石にね。 色々書き出すとキリがない.....一旦ここまで。昔話はまた今度。