告白
湊かなえさんの「告白」(双葉文庫)中学校で起きた殺人事件について、関係者が一人ずつ、順番に、それぞれの立場から、それぞれの解釈で「真相」を語っていく小説。そうそう、まさにそのとおり。私たちって、これだけ勝手に、都合よく「真実」というものを作り出しているんですよね。例えば、ですけど、街でカフェに入って、ご婦人二人連れの隣に座ると、かなりの確率で、ご婦人がたは誰かの悪口を言っています。聞こえてくる話を総合すると、お二人の職場かご近所には、とんでもなく許しがたい大悪人がいらっしゃるらしい。その一方でお二人は完璧に正しいと信じ込んでいる、らしい。苦笑を禁じえない場面ではあるのですが、もちろん自分にも、そういう身勝手な面は多々あります。悪口に費やす時間がもったいないと思っているだけで、頭の中は、あのご婦人方とそんなに違わないかもしれない。そんな人間のいやーな部分に焦点をあてて、緻密に構成された小説に仕立て上げた、そんな印象を持ちました。読みながら、別な告白者のコメントを再確認するために、何度も何度も、前のページへ戻りました。中学生の頃、推理小説をこんな感じで読んでいました。それ以来です。すごく面白い小説でした。映画で教師を演じるのは松たか子さん。ピッタリ!イメージどおり!