映画「怪物」【感想】
真夏の午前中、是枝裕和監督の作品を観た。「怪物 だーれだ」上映時間はおよそ2時間。お昼頃、上映が終わって映画館を出たら外はカンカン照りだった。暗さに慣れた僕の瞳孔は絞りの調節がまったく追いつかず、目の前は真っ白になった。映画の中は豪雨だったのに…と目を細めながら僕は呟いた。それから、豪雨の中であの子たちは大丈夫だったのかな…と思った。あの子たち、つまり柊木陽太くんと黒川想矢くんは本当に心に残る演技をしていた。かわいくて、かわいそうで、だけど、身体全部でこう言っているように僕には思えた。みんなに好かれたいと思うのはもうやめようね。まわりの目を気にするのはもうやめようね。そうすれば、楽しいよ。そうだよね、そうだよね、と心のなかで泣きながら、僕はあの子たちを見つめていた。自分を顧みて恥ずかしくなって、嫌になって、それでいて珍しく自分が愛おしくもなったりして、とても切ない映画だった。映像も美しかった。また観たいと思わせてくれる素晴らしい作品だった。