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October 14, 2021
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カテゴリ:その他


今から3年前。2018年(平成30年)10月21日の日曜日。時間は朝の8時半頃。
健康だけが取り柄と思っていた僕は、街の真ん中の地下通路で倒れた。

意識が消えたのは、地下鉄を降りて、改札を抜けた後だった。
その日、地下鉄に乗った頃からなんだか喉元に違和感があって、車内が急に暑くなった気がしていた。
目的駅のホームに降りたら今度は気持ちが悪くなってきて、さっさと用事を済ませて家帰って寝よう、と思いながら歩いてたら、ひどい目眩に襲われ、手すりにもたれかかったあたりで記憶が途切れた。

遠くから呼ばれた気がして目を開けたら、僕は地下通路の真ん中にうつ伏せに横たわっていた。
僕の顔の近くを次々と通勤の人たちの靴が通過していく中、紳士と女性のお二人が一生懸命僕に声をかけてくれていた。
「大丈夫ですか。駅員さん呼びましたからね。すぐに来てくれますよ」
「お忙しい時にすみません。目眩がしまして…」みたいなことを四つん這いになった僕が呟いていたら、駅員さんが車イスを押して駆けつけてきてくれた。
駅員さんはテキパキと119番に通報し、僕の様子を詳しく伝えてくれたおかげで、救急車が到着した時には搬送先の病院が決まっていた。

「血中酸素濃度、ちょっと取れないな…」
救急隊員の会話をぼんやり聞いてるうちにサイレンが止まり、救急車の扉が開いて病院の処置室に運び込まれた。

「あぁ、やっぱり」
病院スタッフの声が聞こえた後、矢継ぎ早に検査とか質問があって、お医者さんが家族に電話を入れてくれた後、冷や汗で重たくなった服を数人がかりで脱がされて、早速手術が始まった。

病名は急性心筋梗塞。
心臓近くの血管にステントを入れる手術だった。
術中2回心臓が止まって、2回AEDが使われたそうだ。執刀医の先生が自分の胸にガッと飛びついてきたことと、医療スタッフの皆さんが懸命に僕を呼んでくれていたことは、手術中おぼろげに感じていた。

「頑張りましたね。このまま2週間は入院。病院にたどり着けない患者さん、間に合わない患者さんが少なくありません。ラッキーでしたよ」
「ありがとうございました」
僕が言えた言葉はこれだけだったけど、今生きているのは、忙しい通勤時に見知らぬ僕のために走り回ってくださったお二人と、駅の外なのに駆けつけてくれて、消防に正確な情報を伝えてくださった駅員の皆さんと、その情報だけで心臓血管外科に受け入れ依頼をしてくださった消防の皆さんと、万全の体制で救急車を待ち受けてくださった病院の皆さんの奇跡的な連携プレーのおかげ…
そんな思いが込み上げていた。

「僕なんかのために、皆さんがこんなにも一生懸命になってくれて。もったいない、もったいない、とてつもなくもったいない」
集中治療室の中で、僕は心の底からそう思っていた。

あれから3年、「助けた甲斐があったよ」と言ってもらえる僕になれたかは甚だ疑問。だけど自分だけの命ではない、という言葉は正しいと思えるようになった。
それから、「死にそう、死ぬ、死んでも…、死んだほうが…」みたいなワードは言えなくなった。

皆さんへの感謝の思いは日々、そして年々強まるばかりです。
退院後、直接のお礼は駅員さんにしか伝えられてないけど、お名前を伺い忘れたお二人を始め、助けていただいた皆さまに、この場をお借りして心から感謝申し上げます。
本当にありがとうございました。
救っていただいた命を無駄にしないように、しっかりと生きていきます。





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Last updated  October 18, 2021 08:08:21 AM
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