南カリフォルニアのサン・クレメンテ(San Clemente)。
太平洋に面した小さな美しい町だった。
この日は隣町のDana Pointに連れて行ってもらい、小さなヨットハーバーが見えるシーフードレストランでクラムチャウダーを食べた。これぞカリフォルニア、という時間を過ごせて嬉しかった。
そしてその後、海岸沿いをしばらく走っていた時にこの風景が現れ、目を疑った。
崖の上には太平洋を一望できる高級な邸宅や別荘が立ち並んでいて、相当な資産家たちが日々眺望を満喫したり、あるいはオーナーとしてこの絶景を所有している。この辺りはそういうエリアだそうだ。
それが、近年、南カリフォルニアにもしばしば雨が降るようになり、時にそれが豪雨だったりするものだから、各地で地滑りが起こっている。
結果、建物の基礎近くまで敷地が削られた邸宅が多数発生し、住めなくなってしまった家もあれば、資産価値が暴落した家もあり、大変な問題になっているとのこと。
この写真はサン・クレメンテの別の場所だけど、車社会のカリフォルニアでは、高台に高級な邸宅や別荘が並んでいる風景をしばしば見かける。
思い起こせば、僕が南カリフォルニアで暮らしていた30年くらい前には、雨というものをほとんど経験しなかった。
たまに雨が降ろうものなら、高速道路に染み込んでいる車のオイルが浮き出してスリップ事故が多発していた。そのくらい雨は珍しかった。
そして、近所の人たちは「湿度でお肌が喜んでいる」みたいなことを口々に言いながら、わざわざ雨に当たりに玄関先に出てきたりもしていた。
だけど今の南カリフォルニアの気候はそうではないらしい。
日本にいても気象が年々荒っぽくなっていると感じているけれど、年月を経て再び訪れた地に立って、気候の激変ぶりには恐怖にも近いものすら感じた。
地球温暖化対策、脱炭素、カーボンニュートラル…
言葉は何でも良いのだけど、とにかく何とかしなければ。何かできることをやらなければ…
その「何か」は難しいけど、焦る気持ちは確実に募った。