映画「スオミの話をしよう」【感想】
この女、何者?脚本・監督 三谷幸喜主演 長澤まさみ9月13日公開の映画「スオミの話をしよう」を観た。雨の週末、映画館は賑わっていた。映画を観るといつも、それがどんな映画であっても、監督さんが映画に込めた思いや、映画を通じて伝えたいメッセージを僕は探ろうとしてしまう。だけど、この映画「スオミの話をしよう」の場合、おそらく何か深いメッセージが込められているわけではなくて、三谷幸喜監督はただひたすら僕たち観客を楽しませようとこの映画を作ったに違いない、と、観終わった時に思った。言い換えると「思い切り楽しませること」がこの映画のメッセージ。そもそも、三谷さんは何かを真剣に探るような映画の見方を僕たち観客に求めているわけでもなくて、2時間たっぷり、日常のあれやこれやを忘れて楽しみまくって欲しい、そう思っているに違いない。そんなことを出演しているビッグな役者の皆さんの姿からも感じた。その昔、チャップリンは彼の映画に鋭い風刺や政治的メッセージを思い切り込めていたけど、コメディ映画は本来、三谷幸喜流でも全然良いのだろうと思った。この映画、屋外のシーンはほとんどなくて、劇場で演劇を鑑賞しているような気分にもなった。以前、小劇場に入った時の記憶を手繰ると、それは監督さんの頭の中が無秩序に舞台で表現されているような作品で、初っ端からまったくストーリーが追えず、終始理解が追い付かなかった。なのに終演時、周囲の観客たちがこぞって感激してる風に拍手喝采をしていたのが不思議で仕方がなかった。幸い、「スオミの話をしよう」はストーリーに置き去りにされる心配をまったくせずに楽しめた。それでありながら、まさに三谷幸喜監督の頭の中を覗いているような時を過ごした。三谷幸喜ワールド全開。週末にふさわしい、楽しい映画だった。