|
カテゴリ:カテゴリ未分類
今住んでいるこの界隈には、日本人は殆どいない。 でもたった一人、 ここにやって来た時期も、その訳までお互いそっくりで ともだちになったのがミドリちゃんだった。まだ20代で、本当にかなり年下の女の子、結婚しているとはいえ ちゃんづけでつい呼んでしまう。
ミドリちゃんの家庭のバックグラウンドは複雑だった。そして夫になった青年も、母国で悲しい境遇に置かれてアメリカ人夫婦のところに養子に来た、そんな事情があった上での 結婚生活が続いている。 彼女はここに来てから、ずっと故郷に帰らなかった。いつも経済的にマイナス状態で、帰りたくても予算上難しかった。友達やお姉さんがお金を出してあげようか、帰っといでよ、と言ってくれたりもしたらしい。遠慮がちな彼女は うん、まだいいよ、仕事も学校も忙しいし、といつも先延ばしにしていた。 そんなミドリちゃんが慌ててチケットを手配して里帰りを決行したのは 郷里の友達が重い病気にかかっていそうだと聞いてのことだった。肉腫?...かなあ。彼女もよくわからないけれど、今会っておかないと間に合わないかもしれないとは感じていた。 夫がむしろ、行っておいでと後押ししてくれた。 やっと借金が無くなってきたところだったけど、今回のチケットでまたクレジットカードに借金ができちゃった。来年から学校、フルタイムで行きたいけど仕事辞められないかもなあ。 でも よかったじゃない、家族の人やお友達みんなに会っといでよ。そんな風に電話で出発1週間前くらいに私たちは話した。 彼女の出発直前のハロウィーンの頃、うちでは娘の小梅が104°F(40℃)の高熱を出して吐いたり、食べなくなったりしていた。Ear Infectionというのにかかっていた。連日つきっきりで小梅の様子を看ながら、ああ、ミドリちゃん無事に発ったかな...着いたかなあ、懐かしの日本に...連絡も取れないまま いろいろ想像していた。 2週間の日程と言ってたから、もうそろそろ戻って来てるかな。11月も中旬がそろそろ終わる頃に電話をかけてみた。 誰もでない。3回ほど日を替えてかけてみたけれど、ミドリちゃんも旦那さんもいないのだろうか。戻って来て草々で外に食べに出てるのかな。 感謝祭の少し前、彼女の働いているお店に行ってみた。 ミドリはすごい病気よ。日本で重い病気になって、病院に入ったって。夫が日本に行ってるみたい。相変わらず英語の理解力が 今一度の私が、彼女の同僚の女性から聞かされて こう理解した時、ああ、何があったんだろう、どうしよう、誰も電話に出ないわけだ... ミドリちゃんはそして、どうしているんだろう...私の頭はクラクラした。 夫のお母さんの電話番号を調べてかけたらなんと、ミドリちゃんの夫はその場にいた。そうだよ、僕が東京まで迎えに行った。 今こっちの大学病院に入院してるけど、大丈夫だよ。 そしてその日の夕方、 ミドリちゃん自身が入院先から うちに電話してくれた。 ひな さん、私興奮しすぎて成田から飛行機に乗れなかった。 止められたの。 何があったの? うん、あんまり長いこと日本に帰ってなかったから、 何だか興奮して。 友達と会ってる時も時間が惜しくて毎晩2時間くらいしか寝ない日がずっと続いてて。 天国と地獄を見ちゃったよ。 それで成田から病院に連れて行かれて。 夫が迎えに来てくれた。 それでこっちに着いて、今この病院の精神科に入れられてるの。この2日間、ここにいなさいって出してもらえない。 話していて呑み込みにくいところはあるけれど、ミドリちゃんは落ち着いていた。 とても素直に 自分にあった事を 隠さず話してくれる。この時点で大丈夫なのはわかったけれど、何が起きたのかは もう少し折を見て詳細を聞かないと よくわからない。あ、他の人が電話使いたいって言ってるから。 わかった、行けたらそっちに行くからね。 そんな状況なのに うん、無理しないでいいよ、 そう彼女は言ってくれた。 とにかく、感謝祭後の土曜日に会いに行くことにした。 (続く) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2005.11.29 14:30:56
コメント(0) | コメントを書く |