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これなんかお勧めよ、ゴージャスでしょ。こっちも素敵よ。
でもどの値段も軽く1000ドル、いえ2000ドルはする。ヒエー。 それで、最初に一目で気に入ったものは6070ドル。ろくせん...。想定外のこの価格。 私って見る目が高いのね...って喜べない現実がある。 あの、サファイアのグレードとかってどう判るんです? 夫がそんなことを(一軒毎に)質問する。 品のよさそうな売り子さんのsignoraは あら、そういうことなら彼に聞いて。 ここの宝石のデザインも彼がやってる。品質のことも、グレードのことも彼は全部知ってる。値段の交渉も彼がするわ。そんなことをおっとり言って、見せの奥から姿を現したオーナーを紹介した。 オーナーさんはふんわりとした丸い顔の、目もイタリア南部の男性の目のように大きく、やわらかい表情と雰囲気をかもし出した人だ。かっぷくはいい方だけど、アメリカ人特有のだらんとした太っちょというのとは違う。外国なまりの米語でゆっくりと説明してくれる。一目見れば私にはサファイアのグレードはわかります。 これがトリプルA。こっちはAプラスだね。人工のサファイアも、元は天然です。それを人工的に環境を作って育てる。人工の手が入ったものと天然の違いは、光を簡単に通す透明な方が人工、天然は光が通らないような感じですが、光の裏側から見ると光が通ります。 親しみをもてる感じの人で、お国はどちらですか、と尋ねると ウクライナ出身です、と言われた。ウクライナ。チェルノブィリ原発の事故が起きた国だ。自国では生計が成り立たないのでアメリカに来たという説明にじっと耳を傾けた。ウクライナの国籍とアメリカ、両方お持ちなんですかと聞いたら、いえ、二重にはもてません。私は今はもうアメリカ人です。淡々と語る彼の指に大きな宝石の入った指輪がよく似合っている。この石はね、珍しいものなんです。それにとても高価です。 反射する光の角度によって色が変わる。ほら、紫でしょう。私の角度からは緑色に光っている。聞いたことのない石の名前だった。分厚い宝石のカタログで石の名前や詳細を見せていただいた。原産地はロシアの限られた地域。 これは...あなたのお国の地域から取れる石なんですね。 そうです。世界中でここでしか取れない。 では、あなたにとって故郷の石なんですね。 特別ですね。 そう言うと、 本当に嬉しそうな表情をされた。 私の好きなサファイアのカット、オーバルは一番そのサファイアの青が反射で映える、とプロの目でそう言われる。 ホワイトゴールドもサファイア、ダイヤモンドの青系やクリスタル系はホワイトの、 黄色や赤い石にはイエローのゴールドの組み合わせがいい、とも。深く深く同意した。 そして、私が一番これだ、と思ったサファイア。 パーフェクト。 ...6000ドル。(涙) タカタカ、と電卓を叩いて、くだんの紳士はここまで下げます、と言われた。およそ4180ドル。 すごい。いい値引きだ。 (それでも高いさ) そして一言。180ドル引きましょう。 メリークリスマス! 買った! と合いの手で即答したかった。ホントよ。 でも、私は自分の立場をよーくわかっている。横にいる夫の気持ちもよくわかる。 買っていいよ、とは言ってくれない。そりゃそうだわな。4000ドルだもんな。 うん...いい指輪です。 私が見た中で、これが一番美しい。 買えればいいですが。 ため息をつきながら、でも私たちの目の前で無邪気にはしゃぐ伊織を見ながら、 こんなきれいな宝石を見て、でもこの子を見ると、ああ、本当にこの子がさらにpreciousだと実感します。 オーナーさんは優しい微笑みでわかりますよ、と言ってくれた。 ああ、本当にすばらしい宝石でした。ありがとう。米語でずっと話した後、ダスビダーニャ(さようなら)、と一言言うとまたパっと顔を輝かせるオーナーさん。 学生の時、一年だけロシア語のコースを取りました、と言って、でも覚えているのはこの言葉だけなんです。ごめんなさい。よくないですね。さよならの言葉しか出ないなんて。 売り子の女性もニコニコしていた。彼女は自分はドイツ人よ、と言われた。 もう少しで、大学3年生と4年生のとき、第3外国語としてドイツ語のコースをも取っていたことをすべらしそうになった。 ほんとうは、ありがとうの言葉を覚えた方がずっといい。やりなおさなきゃ。 ああ、それにしても うるわしの、うるわしのサファイア。 私、実はあきらめていませんのよ、夫よ。あの指輪以外のサファイアリングはいらないと感じているのですもの。(爆) 冗談はともかく、縁があったら売れないで、私を待っていてくれるような気がする。 あの青に、魂が共鳴する。 マリア様の瞳、それはサファイア...という歌が頭を過ぎる。 夢のような、その指輪との出会いだった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2005.12.27 07:34:36
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