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カテゴリ:Cuore d'Italia
トリノオリンピックの閉会式の翌日からという日程で、 サンレモ音楽祭2006が始まった。(Il festival della canzone italiana が正式な呼称なんだけど、一般には San Remo 2006 と、サンレモにその年をくっつけて呼ばれている)
フィギュアスケートで勝手に盛り上がって夜更かし観戦したすぐ後のサンレモ。 イタリア時間で9:00pmから(だいたい)始まるので、 ここアメリカでは 3:00pmくらい。(初日は3:30くらいから始まっていた)ちと寝不足できつい...がマニュアル録画を、画面に張り付いてするのだ。 なぜかというと、サンレモは喋りの時間がとにかく長いので、全部録画すると冗長になりすぎる。 歌が始まるところだけを押さえないと、後で見返す気になれない。一種のGala(コンテスト)だから結果待ちの時間稼ぎのお喋りも長いし。 さて、一番お気に入りのアーティストは。 Povia(ポビア)。 昨年、 司会の パオロ・ボノーリス に「参加外の歌」として紹介されてステージに上がった彼。 サンレモの参加規定に外れてしまったのは、その歌、"Quando i bambini fanno Oh!" が既に何かの賞を受けていたからだった。 その歌を聴いた時、 涙が出てしかたなかった。 初日の夜、 アルベルト・カスターニャの訃報を伝えた 去年のサンレモ2005は今まで見たどのサンレモより複雑な様相だった。 翌2日目にイラクで拉致されたイタリア人女性ジャーナリストが解放されたと パオロは伝え、 観客一同 前日の追悼の拍手に続き、 喜びの拍手を贈った。 そしてその翌日の3日目(と記憶しているが、同2日目の話だったかもしれない)、パオロは痛ましい知らせを告げる。 SISMA の ニコロ・カリーパリ氏が撃たれて亡くなったと。 女性ジャーナリストが解放され、無事な場所に届けられる途中、アメリカ軍が敵の車と勘違いして、彼らの乗っている車に一斉射撃を行なったのだった。 SISMAというのは政府の護衛組織のようなものらしく、ニコロ氏ともう一人が 彼女の護衛として同乗していた。射撃されていた間、ニコロ氏は彼女をかばって覆い被さり、銃弾を浴びたらしい。彼が盾となって、ジャーナリストの女性は 一命をとりとめることができた。 カリーパリ氏の遺体は、政府のチャーター機で運ばれ、真夜中の12時過ぎに飛行機が着いた。サンレモは一時中断して、その映像を実況で伝えていた。 チャンピ大統領夫妻が直々に出迎えた。まだ寒い3月初めの真夜中に。 棺が機内から降ろされ 運ばれて来る時、大統領は 彼の棺に両手をじっと当て、頭を垂れて殆どもたれるようにして 数分間 ずっとそうしていた。彼の魂を抱きしめているようで、見ていて 私など、ボロボロ泣いてしまった。 何という人間性だろう。イタリアの本当のすごさを目にした思いだった。 そんな重苦しいサンレモ2005の中で、Povia は歌った。子供たちがオー!と腕を挙げる時、そこに仔犬がいる...そんな出だしで、 アフリカの貧困の生活で、 でもきれいな目をした子供たちの映像を背景にして 優しい歌声が会場を包む。 子供たちがオー!とする時、 僕もそうしたい... 司会のパオロが珠玉のような作品と誉めた。 正直に、 私にとって去年のサンレモで一番心に残った、そして今も残り続けているのは この歌だった。 そして今年。 Povia が ジュゼッペ・ポビアと時々フルネームで紹介されて還ってきた。 (これは山本、とか田中、と名字だけを呼ばれている感覚だと思うけれど、何故か彼にはポビア、と呼ばれるのがよく似合う) 歌のタイトルは"Vorrei avere il becco" (くちばしがあったらなあ)。(笑) 昨年の"Quando..." と同じ人間愛がテーマかなあと最初は思ったが、かわいい感じのするラブソングだった。 初日も2日目も、ラフというかシンプルな格好で歌う。 でもね。彼の顔を見ていて、おやっと思った。 2日目はTシャツとジーンズなんだけど。 顔立ちに、中世を感じさせる。彼の顔に似た絵画をどこかで知ってる。 ああ、と思い当たった。 レオナルド・ダヴィンチのデッサン(素描)の一枚、キリスト画に どことなく似ていたのだ。 鳩のように寄り添おうよ、知ってるよひどい喩えだって でも僕のおばあちゃんが50年おじいちゃんとやっていけたように...(大体こんな意味だったと思う。 間違えてたら どなたか訂正お願いします) Poviaの歌声は、安らぎを与えてくれる... 優しくて 純粋で、また心にしみた。 2日目が終わったその夜、 夫と私はもう戻れない方向に流れたようだ。 夫が私に怪我を負わせ、警官とともに去った。 50年に程遠く、私は今 泣いている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006.03.03 13:40:37
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