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2008.03.15
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カテゴリ:家族
呼吸器系を病んでいる父が、息を詰まらせ詰まらせ 電話の向こうで こう言った。

墓なんか いらんわい。 墓守りしてくれるもんが、おらん。
千の風になって っちゅう歌があるやろ。
墓に来てもろても わたしは そこにいません いうて。


11月に家の墓に参って来て。 もう来られんわ、身体がえろうて。 これで最後やで、そう言うといた。


年寄りは あの歌をそう解釈するのか~、と 内心驚き、かつ

いないと言いながら 墓前で先祖の霊に これが最後ですと挨拶して来たのか~、 と矛盾を感じながらも


そおかあ。 次は現地集合やな。 と応じる私。


アッハッハー と電話で互いに笑いながらも


父の心の準備と、その内にある悲しみを 改めて思い知る。


兄夫婦の 側に引っ越して もっと寂しい思いをしている父の様子。
名前を継ぐ人たちが いるけれど、頼れない。


元 住んでいた実家の近くで、葬儀社への積み立てや 墓購入まで 既にしていた両親。
段々 その日 が近づいて来た 今になって、解約をしたりしている。


アメリカに根を下ろした私では あまりに役立たず。 口を挟むのも おこがましい。
ずいぶんと 親不孝ばかりしている。



それではと 父に告げ発つ 故郷の 夏 誕生日 六十五歳



こんな私の短歌も、 これが二十万首から選ばれた 1,348首の中の一首として 本の活字になっていたことも 父は知らぬまま、 時が流れた。


何となく気恥ずかしくて 今日に至る迄 見せそびれている。


もうあんまり、 時間がない。 そんな気がする。







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最終更新日  2008.03.15 10:49:57
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