日記と小説を混ぜた物語。実際にあるのとファンタジーがまざってます。
現在、朝の八時二十分。俺達をこれから午後の四時近くまで収容するこの四角い部屋に集まったのは全員ではなかった。数名、欠けている。「・・・・ごほ、ごほ」「けほけほ」後ろから三番目の俺の指定席は、それなりに教室を見渡せる。窓から二列目というその位置は、日も直接当たらず丁度いいポジションである。しかし、俺の後ろの席の奴や、周りの奴等の五月蝿い咳。前はこれほどまでにひどくはなかったと思う。今日は、月曜日だ。この四角い箱に呼び出されるのは二日ぶり。しかしその束の間の休息、二日間はあっという間に過ぎていき今では過去、そして遠い夢のようになっている。と、いうのは大袈裟なのだがとにかく過ぎてしまった休みが恋しいのは事実だ。「ごほっ」さてさて、この五月蝿い咳は金曜日はなかったはずだ。そう、二日前まではこんな咳殆ど無かった。なぜ週明けからこうなった?「皆なんだか咳酷いね、風邪かな?」隣の席のハンスが話し掛けてくる。本を読むのが大好きで、ネット関係の話ができるまあそこそこの奴だ。しかし学年全体的に嫌われており、救いにくいいじめられっこだ。あー、いじめられっこといえばそれをプロデュースする小説があったな。面白くて読んでたけど前半読んで投げ出したっけ。夏休み・・・あー、懐かしい。もう冬休みも終わって二月だよ。寒いっつーのに何でこの建物は暖房はいらねえんだよ。使えねーな。「さーな」適当に返事をすると俺はクリスの席に目をやる。クリスの席は教卓の目の前で、窓から三列目でまあ、教卓の目の前なわけだから一番前だ。ぽっかりと穴のあいたその席の周りでは女子が耳に痛い声をあげて笑っている。クリスは、今日も休みらしい。クリストファ・ローゼといって漫画や政治、色々な会話ができる面白い奴である。けれど、病気になりやすく怪我をしやすい。女よりも細くて肌が白いため、簡単に折れるような腕をしてると良く思う。まあ、良き友人だと俺は思っているのだ。「ロゼは今日も休みだね。風邪らしいから良く話す僕達も気をつけないとね」ハンスが話し掛けてくる。「あー、だな」クリスは色々な呼ばれ方をされる。”クリス”や”ロゼ”そして”ローゼ”と主に三通りの呼び方がある。まあ、知っていても知らなくてもいい話だ。横目でハンスを見ると、俺と話すのを諦めたのか本を読み始めている。そこに元気よく、「おはよー、宿題やって来た?」挨拶してきたこいつはジョナーである。珍しい名前でジョナと呼ばれている。ジョナさんと呼ぶ奴の方が多いかもしれないが、俺とクリスはジョナと呼んでいる。微妙だ、と思うがそう呼んでいる。「まあ・・・そこそこ」そう言うと俺は再びクリスの席を見る。ジョナもそれにあわせてか首をそっちに向けたようだ。見たわけではないが、感覚的にそんな気がした。「ジェイルはよくクリスの心配するよねえ。僕の心配とかってする?」ジョナは趣味がほぼ同じで、ずれることもあるがそれでも上手くやってこれた友人であり、体調を崩せばまあそれなりの心配はする。というよりも、クリスの心配をするのはクリスが以上に病気にかかりやすいからなわけであり、ハンスのように全く病気にかからないような奴の場合は休むとかなり心配する。まあ、クリスには劣るのだろうけれども。あれ、どうでもいい話になってないか?まあ、いいか。「ほらー、席に付けー」前の扉を開けて偉そうに入ってくる教員。その言葉を聞き面倒そうにちらほらと指定席に座る奴等。ジョナは「また後で来る」と教員が出て行ったら来るという言葉だけ残しててきぱきと席に座った。まったく、俺が聞き逃したらどうするつもりだったんだ?とか思ったりするのだが、俺はそこまで耳が悪くないため聞こえる。「えっと・・・今日居ないのは・・・」そういうと教員は本日の脱落者の名をあげていく。ああ、こいつ等は暫く来ないだろうな。やっぱりクリスも脱落者か・・・。そんなことを思いながら、俺はクリスの席に目をやった。―本日の脱落者―クリストファ・ローゼトモカ・ヤダニスイリータナー・モーセハオ・マンネ 計五名 本日の脱落者