vivienのＨＰ

チャンが、検査のため、２ケ月ぶりに来日。
お菓子やジュースを一切やめて、お茶で頑張ってきて、結果がどうでも、これ以上の改善は現実的ではないから、気持ちは落ち着いていた。

チャンも、この前中国で会った時と違って、落ち着いて、元に戻った感じだった。

会社売却のための法的手続きの事など、色々話し合った。

元々、中国からの正式な撤退は難しい事は知っていた。
最近、外国企業の撤退が相次ぐ中、更に、外貨への移動が厳しくなっている、という事で、売却の場合でも、正式な手続きは難しいだろう、という予測である。
地域によって、対応が異なる国だから、何があるか、解らない。
シュミレーションして、策を練った。

私の中では、売却は、半分半分の気持ちだった。
大家が、値下げしてくるかも知れない、という気持ちが残っていたし、
売却は、嬉しい筈は無かった。
今の事業を確立するために、１０年間積み上げた事は、ひとつ、ひとつがノウハウであるし、お金に替え難いものだと思っている。

チャン　　もし、今、検討している新事業が上手く行くなら、コストは高いですが、
　　　　　日本でやった方がいいと思います。

vivien　　日本で？

チャン　　もう、中国では製造業をやるべきでは無いです。
　　　　　今、底に向かっているか、底にいるか、そういう状況で、
　　　　　今からの投資は、危険です。

vivien　　日本も、前から、製造業やる人なんかいないんだけど。

チャン　　いいえ、人の質が違うから、管理がしやすいです。
　　　　　利益もあなたが受け取れます。
　　　　　新しい事業立ち上げを中国でやると、あなたは中国へ来なければいけない。
　　　　　この間に、ルナに問題があると、あなたは、又、後悔するでしょう。
　　　　　日本であれば、両方、出来るじゃないですか？

そこまで話をして、私は、私の置かれている立場を、ようやく、自覚した。
ルナの不登校以来、チャンひとりに会社の事を負わせてきてしまった事。
それで、チャンが病気になってしまった。

ルナの不登校も、チャンの病気も、全ては自分が原因で、心に蓋をして、目を
そむけて、騙し、騙し、やってきた。

でも、ようやく自覚だ。
撤退すべきなんだ。

売却が出来るか、どうか、関係なく、撤退しよう。
新しい事業が前進するか、どうか、関係なく、撤退しよう。

神様は、この答えを引き出すために、何年間もかけて、私に、悲しみをくれたのですか？

チャンの検査結果は、糖が少ない位の結果で、医者は、『あなたは、結果が良すぎで、薬を減らしましょう。次は、３ケ月後。』と言われた。

奇跡だ。
不治の病が治りつつある。
失明とか、足を切るとか、色々心配した事が飛んで行って、
取り敢えず、チャンは、レストランでビールを頼み、にっこり笑ったのだった。