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10月の初旬、仕事を終えて、ダイアンの所へ行くと、窓から明かりが見えていないので、不吉な予感がした。
玄関のドアを開けると、ダイアンの声がして、見ると、トイレの前に倒れていた。 起こそうとするが、重たいし、痛がるし、で、どうにもならない。 困った挙句、気が引けたが、消防署に連絡し、消防車と救急車がきた。 消防士3人でも起こすことが出来ずに、四苦八苦した後、なんとか、救急車に乗り込んだ。 定かではないが、私が発見するまで、2時間程、倒れていたらしい。 病院でレントゲンを撮ると、肘付近の骨が3本折れていた。 その日は、仮固定して、家に帰った。夜中1時をまわっていた。 翌日、改めて病院へ行くと、手術するか、自然治癒するか、検討しましょう、という事になり、入院すると、高齢者は良くないと思い、長い付き合いの内科の先生の所へ相談に行った。 その時だった。ダイアンは、吐き、ふらふらの状態になり、内科の先生が大病院へ連絡を取って、結果、そのまま入院となった。 脱水症状、感染症、原因不明、PCRでコロナ陰性。 この時は、抗生物質で4日くらいで治るだろうと思っていたが、結果は1ケ月の入院。 この間に、肘の手術を行った。 何かと病院へ行くが、コロナのため面会が出来ず、看護師に様子を聞くにとどまった。 心配したせん妄が発生したようで、いい話は無かった。 ソーシャルワーカーからは、老人介護施設を提案された。 これは、本人も希望している、という事だったが、信じ難い話だった。 デイサービスも直ぐにやめたダイアンがそんな事を希望するとは思えなかった。 退院させて、家に連れて帰りたい、と言うと、 「あなた一人で、介護できる状態ではありません。」と言われた。 施設検討の間、リハビリ病院へ転院をする事になった。 転院の朝、介護タクシーに乗り込んだダイアンは、不機嫌だった。 ダイアン 「どこへ行くの?家じゃないの?」 リハビリ病院の部屋に到着すると、 ダイアン「騙したのね? どうして、ここにいなくちゃいけないの? 私は何も悪い事をしていないのに。」 正直な話、私もその個室にぞっとした。 白い壁に、小さく見えるベッド、あまりにも、不憫だった。 帰りたい、ダイアンは何度も言った。 不足の物を買って、届ける事になり、同日夕方再訪問すると、看護師が言った。 「検査室に入るなり、大声で、何でこんな所にいなきゃいけないの?と言ったんです。」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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