しみるな~(終末のフール)
終末のフール 伊坂幸太郎 (2006.8.15読了)テーマから離れてます。。。すみません。もうミステリじゃないですね。これ。。。でも、いいんですもうこの際。伊坂さんだから・・・(笑)8年後に隕石が落ちて地球は滅亡すると発表されてから5年後のお話。発表直後の混乱、暴動、殺戮がおさまり何ともいえない不安定な落ち着きを取り戻した昨今。「あと3年をどう生きるか」「今をどう生きるか」に悩み葛藤する様を描いた8編の物語。まず、「あと3年で地球が滅亡する世界」という時点でかなり重いです。もちろんそこは伊坂さん。こんな救いようのない世界を書かせても、どこか飄々としてます。(隕石衝突発表から5年間は救いのないことが多々あったことが書かれていますが。)けど、その涼やかな文体から紡ぎ出される世界は、やはり温かみや希望があるように思うのです。長男の自殺を境に娘と絶縁状態の父。妻の妊娠を知り、産むべきか悩む夫。自殺した妹の復讐を誓う兄弟。状況がどうなろうとも淡々とトレーニングし続けるボクサー。等々。皆、この終末の世だからこそ悩み、もがき、達観し、そしてかすかな希望を見つけ出します。素敵な台詞がてんこもりです。是非自分のお気に入りの台詞を見つけて欲しいです。号泣という話ではありませんが、じわ~ときますよ!私のお気に入りは、 優柔不断夫と決断力妻の妊娠騒動・・「太陽のシール」、 妹の復讐のためにマンションで籠城する兄弟・・・「籠城のビール」(これタイトルが秀逸)、 そして世界の最後を見届けるために櫓を組む父・・・総まとめっぽい「深海のポール」です。人物のお気に入りは、天体オタクの二ノ宮さんとボクサー苗場さん。今回は他の作品とのリンクはなかったのかな~気がつきませんでした。伊坂作品の中には物語的には正直イマイチと思う作品もあるにはあるのですが、そういう作品でも彼の文章には引き込まれます。相性が良いんでしょうね。。。(同年代というのも大きいかもしれません)ミステリじゃなくても、もうどこまでもついていくわ~って気分です。しかたありませんね。ファンとはそういうものです。(笑)でも、やっぱり伊坂さんの描くちょっぴり不思議なミステリも読みたいな~TBさせて頂いた日記まみむメモ(@かぼちゃさん)未定の予定~ラビ的非日常生活~(みっつ君さん)読書とジャンプ(むらきかずはさん)猛読醉書(かつきねえさん)