雨天使。
今日も雨が降る。明日も雨がふる。
明後日は雷雨かも知れない。それでも晴れは来ない。
そしてそんな天気の中でも、僕は傘を持たない。
雨を避ける方法を、未だよく知らないからだ。
そうなれば後は雨に打たれて濡れるだけ。
毎日雨で乾く事もなく。
晴れ間などあるのかと、泣きそうな自分にこっそり問う。
僕は泣き出して
「きっとある」
と呟く。
晴れ渡る、心地良い夏の晴天の下。
余りに暑すぎて、一雨きてほしいくらいだ。
街を行き交う人は、無言で文句を垂れる。
そして皆同調する。行き交う先はばらばらだけど、案外思う事に差はない。
人の溢れかえるこのスクランブルの中でも、卓越した思考などない。
暑さで皆、猿みたいだ。
僕は下らない持論をぶら下げながら街のスクランブルを渡る。
隣を過ぎ行く人を、初対面にして敵視しているこのゆとりの無さ。
自分でも呆れるけど仕方ない。
睨まれたら睨みかえす。
舌打ちを打たれたら、もっと目を尖らせる。
暗黙のルールの姿はまるで、縄張り争いする猿だ。
下らない。世の中は下らない。
地に堕ちた世の中を、僕は今日も生きている。
確かな晴天の中、雨を背負って生きている。