カテゴリ:アフリカ産
終わってしまえばあっという間……だった新宿ショー。
その中で、局地的に、詳しく言えば私の周辺の石好きさんの間で大いに盛り上がった石があります。 売り方が地味なのか(石は地味ではなかったと思う)、小振りな石ばかりだったせいなのか、人にあふれた会場の中で、比較的平穏だったお店なのですが、私たちは、入れ替わり立ち替わり、顔見知りの石好きさんを捕まえてはその店に舞い戻ったので、お店の人は、 「お、また人を連れてきたぞ」 と言っていたとかいないとか。 このように私を含めた一部石好きさんの心をわしづかみにした石はこちら。 ローズ石です。 正確には、ローズ石(ローゼライト)の上を、水晶のドゥルージーが覆ったもの。 ローズ石、まさしく深いバラ色の石にふさわしいこの名前は、「薔薇」ではなくベルリン大学の鉱物学教授ガスターブ・ローズ氏にちなんで名付けられたそうです。 でも、どう見てもバラ色のローズ石ですよねえ! この石を見てしまうと、ロードクロサイトやロードナイトなどは、「まだまだだねえ」と言いたくなります。 ローズクォーツに至っては、アフガニスタン産のローズクォーツを除いて、ピンククォーツに解明しなさいと言いたい気分。 まさしくバラ色。 しかしながら、ローズ石単体ではモース硬度は3.5、劈開は完全。 つまり、傷つきやすく割れやすいという、佳人薄命な石なのです。 でも、このように水晶に覆われていれば、心配ご無用。 水晶のきらきらが加わって、ますます華麗な雰囲気になりました。 実物は、3センチ四方ほどの小さい石ですが、ローズ石そのものがあまり大きい結晶を見かけないので、仕方がありません。 この際、写真で拡大して、たっぷり楽しむことにします。 このバラ色の正体は、コバルト。 同じ山地からはやはりピンク色が美しいコバルト・カルサイトが産出します。 しかし、不思議なことが一つ。 コバルトと言えばコバルト・ブルーというように、青を連想します。 実際シベリアン・ブルーの名前で知られるロシア産の人工青水晶はコバルトによって輝くような青に発色しますし、スピネルではコバルトによって青く発色したブルー・スピネルがあるようです。 しかし、こちらは美しいバラ色。片や青、片やバラ色。不思議です……。 さてこのローズ石、ちょっとした成分の変化や結晶の形によって似たような石が数々あるようです。 とてもとても見分けることなどできそうにないので、ここはお店の人のラベルを信じて「ローズ石」と言うことにしておきたいと思います。 こんな石が何の前触れもなく出てくるのですから、石業界は目が離せません。 この石が、今後どんどん産出して出回るか、この一時だけで終わってしまうのか……それも謎に包まれています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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