カテゴリ:ブラジル産
「黒針入り水晶」です。 針の正体は、ルチル。 「え、それは当たり前では?」と思われた方。 ちょっとお待ちください。 針入り水晶=ルチル入り水晶ではありません。 針入りというのは、文字通り「針状のものが入った」ということ。 針状であればルチルでもトルマリンでもかまいません。 針状の内包物が黒ければ「黒針入り」です。 ショール(黒トルマリン)入りでも「黒針入り水晶」。 黒いルチルが入っていても、針状ならば「黒針入り水晶」。 ルチルが内包されていても細くてしなやかに曲がっているようでは 「針」とは言えないので、「針入り水晶」というのはちょっと違う。 このごろ「トルマリンの針状結晶が入っている水晶をルチル入り水晶といいます」 というような、「は!?」と耳を(目を?)疑う説明を見かけることがあります。 つねづね、針入り水晶と呼ばれるものの多くがルチル入りだからと言って、 針状のものを全部ルチル呼ばわりするのはやめていただきたいと思っていましたら、 ぬけぬけと、トルマリン入りがルチル入り水晶ですと? 「インディゴライトが内包されているものを「藍ルチル」といいます」 ……どこをどう理解すればトルマリンがルチルになりますか。 これが、れっきとした書店売りの本に書かれていたりするのですから、 油断できません。 トルマリンが入っていたらトルマリン入り。 ルチル入りならばルチル(金紅石)がはいっているべき。 で、針入り水晶ならば、鉱物としては何であれ、「針状」のものが入っている。 それが、シンプルかつ正確な呼び方というものです。 (微妙なグレーゾーンがあるにしても) 言い続ければそれがスタンダードになる、 ごねれば常識も変わる、というのなら、私だってごねますよ! ルチル入りは中にルチル! トルマリンならトルマリン入り!(連呼!) ……失礼しました。 さて、写真の石はルチル入り。 ところで、私は2年ほど前まで、 藍ルチルと呼ばれているのがすべてインディコライト(青トルマリン)であるように、 黒ルチルと呼ばれているのは、すべてショール(黒トルマリン)だと思っていました。 ところが、黒い(黒く見える)ルチルもあるんですねえ……。 それを知ったときには驚き、石屋さんに質問したり、 あやしそうな石を見てもらってショールかルチルかを判別してもらったりしました。 かなりじたばたして、なんとか見分けられるかな? という程度にはなりましたが、 ルチルか否かという判別は、実は予想以上に難しいこともわかりました。 いえ、見分けるのはコツさえつかめば何とかなるけれど、 似ているのは予想以上に似ている、意外なほどに間違えて売られているということなのです。 私がルチル(っぽい)と判断する条件は以下の通り。 ●金属光沢 色が赤でも黒でも表面に光を反射させると銀色に輝く (金、銅色は銀の輝きではないが、やはり金属光沢) ●太さがほぼ均一 太いもの細いものが入り交じって内包されることは比較的少ない (金ルチルは、太さに差がある場合も) ●根本から先端まで同じ太さ 途中で折れて太さが変わっているとか、ささくれているようには見えない。 ●太いものは赤く透ける ●ルチル独特の内包具合(ルチルの絡み具合)がある。 今回の写真の丸玉は、いろんな内包物入り水晶丸玉がいくつも入った箱の中から発見。 実は黒く見えるルチルは、意外に少ないので、 見つけたらそれはそれでラッキー。 お、これは、と手に取り、上記の条件に照らしてチェック。 うむ、これは黒ルチルであろうと判断しました。 だからお店の隅っこ探しはやめられません。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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