カテゴリ:アフリカ産
タンザニア産の石です。 グリーン・クォーツということで売られていました。 天然の水晶(石英)で透明緑というのはありません。 それは、鉄やアルミニウムが水晶の成分である二酸化珪素の一部と置き換わり、 そのことによって電子の状態が変化して、特定の光を吸収する仕組みを作る……という、 アメジストやシトリン、スモーキー・クォーツの色の仕組みとは違って、 緑水晶は、緑の鉱物が内包されることによる色だからです。 緑色の内包物で、水晶全体が緑に見える鉱物と言えば、まずは緑泥。 続いてクロム雲母、あるいは雲母が緑泥化したものだというセラドナイト。 緑泥は、アクアマリン色から黒に見えるものまでさまざまな色合いがありますが、 写真の石のような緑は見かけません。 クロム雲母(またはセラドナイト)入りと言われる水晶も 若草色系緑が多いように思います。 ちょっと珍しい緑かも……と思って買って、手に取ってみてちょっと疑問。 これは、水晶(石英)なのでしょうか? 水晶(石英)でなくて長石のような全く別の石、というのではなくて、 石英質ではあるようなのですが、水晶(石英)とは思えません。 理由は肌合い。 写真の石は、結晶面を持たない塊状です。 石英でも塊状の石はあり得ます。 ……が、割れた破断面はもっとなめらか。 比べてみます。 こちらが石英。(オーロ・ヴェルディ。メタモルフォーゼスを変色させたもの) こちらが今回の写真の表面。 ……ざらざらです。 内包物によるいろなのだから、内包物のためにザラザラしてしまう可能性はありますが、 一番上の写真くらい光が透けるならば、ここまでザラザラしないと思います。 これはむしろ、クォーツァイトっぽい。 これは、「アベンチュリン」ビーズですが、全くキラキラしていないので、 むしろグリーン・クォーツァイト。 石英が風化して細かな砂状になったものが 地殻変動による熱や圧力を受けて固まったつぶつぶ構造の石。 さざれに磨かれていても、微妙に表面がザラザラです。 丸玉などのようにきっちり磨けば、石英と区別が付かないくらいなめらかになりますが、 軽く磨いた程度では、もともとのつぶつぶ構造のために、 若干なめらかさに欠けるものがあるようなのです。 よって、個人的には石英というより、クォーツァイト。 で、なぜこれが「グリーン・クォーツ」と呼ばれていたか…… 想像ですが、現地でそのように呼んでいたのでしょうね。 アベンチュリンも少し前までは「グリーン・クォーツ」とか クロム雲母が内包された水晶(石英)と説明されていましたし、 ジラソルも見た目がオパール(乳白色光を帯びた)っぽいというので、 海外では「オパール・クォーツ」と呼ばれていて、 某バイブルではこともあろうに「オパール」の項目に入れられていたりします。 クォーツアイトがクォーツと見なされていた時代があったのか、 鉱物としての厳密な区分けとは別に、石英っぽいからまとめてクォーツという そういう分け方なのか。 日本でも名前がいろいろあやしいですが、 海外サイトでもそういう例を見かけることがあります。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008/04/15 09:44:49 PM
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