カテゴリ:ブラジル産
ブラジルはバイア産の緑泥入り水晶です。 緑泥と言えば、たいていは深い緑。時に灰緑になったりしますが、 これは、若葉色といいたい明るめ緑。 緑泥で明るいというと、白っぽくなることが多いのに、 黄色みを帯びたこの明るい色合いは、意外なことにあまり見かけません。 内部のミスト(白いもや状のインクルージョン)が多めで、ちょっと惜しい感じですが、 明るい緑の緑泥は、ファントムになっています。 水晶の内包物の一方の雄がルチルなら、もう一方は間違いなく緑泥。 ルチルに比べて地味なようでいて、なかなかどうして表情豊かなのです。 そのうち、別館サイトに緑泥の写真を集めて、 色合いや表情の豊かさを見比べるコーナーを作りたいものです。 さて、緑泥の色合いともうひとつ、この水晶の特徴は、 メイン・フェイス(一番大きく目立つ錐面)にくっきりとうがたれた凹状逆三角形。 ところによってはこれをトライゴーニックと説明していることがありますが、 私はこれをトライゴーニックとはみません。 これは、触像、溶けてできた逆三角形ではなくて、 結晶の埋め残しによるくぼみだからです。 逆三角形をアップにしてみましょう。 逆三角形は一つだけ。 くっきりとシャープに、深く彫り込まれたようになっています。 溶けてできた逆三角は、たいていは浅く、複数あり、 深い場合は三角形の縁や結晶の稜線が溶けてルーズになっていることが多いです。 また、オレンジの矢印が示す細い線にも注目です。 これは、結晶の境目。 つまりこの結晶は、一つのようでいて実は複数の結晶がくっついているのです。 くっついて結晶したときに、たまたま隙間があいたところが 逆三角形に見えてしまったのです。 トライゴーニックについて説明しているジェーン・アン・ドゥ氏の著書の中では、 言葉こそただ「逆三角形」とかかれているだけですが、 添えられたイラストは紛れもなく触像による逆三角形の様子を示していました。 また、水晶の錐面に現れるレコードキーパー(凸状の三角)は、 水晶の成長丘、つまり結晶が成長していくときの表情です。 その反対の形である凹状の逆三角形(トライゴーニックは)、 やはり水晶が溶けてできるものの方が、ふさわしくないでしょうか。 ……というわけで、私はこの三角形をトライゴーニックとは言わないことにしています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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