カテゴリ:石について考える(調べもの中心)
ルビー・イン・ゾイサイトという石があります。 緑の中に赤いルビーが混ざり込んだ石で、緑の部分には黒いぽつぽつが混じります。 この石としょっちゅう間違えられている石に、ルビー・イン・フックサイトというのがあります。 この石も緑の中に赤い部分が混じります。 緑と赤の組み合わせは似ていても、フックサイトの方には白い部分や、やや青みがかった部分があり、 黒いぽつぽつは混じりません。 よく見ると透明感やつやも違います。持ってみると重さも違います。 ……だけど、なんだかお約束のように間違えられているので、 緑に赤の石が混じったものは全部「ルビー・イン・ゾイサイト」ということに なってしまっているのでしょうか。 「緑に赤い石」という意味で商品管理的名称なんでしょうか。 なんだか。「水晶の中に青いトルマリンが内包されたものを藍ルチルといいます」という、 それはどう見ても違うでしょう、といいたい説明のようです。 これを根拠にパワーストーンの説明をされたら……どうなるんでしょう。 なんだかねえ……と思っていたら、 もうひとつ「ルビー・イン・ゾイサイト」を見つけてしまいました。 ……違う~! 全然緑じゃないし。 ルビー・イン・ゾイサイトの別名として「アニョライト」という名前を見かけます。 アニョライトとはアニョリ(anyoli)、すなわちマサイ語で「緑」を意味する言葉を 語源に持つ名前で、ルビー・イン・ゾイサイトの別名ではなくて、 この石の緑の部分のことです。 それが全く緑じゃないんですから、見るからに違うでしょう。 この石はスピネル・イン・グラナイト。 グラナイトとは花崗岩のこと。花崗岩は長石と石英と雲母が主成分の岩石で、 この石の黒い部分は黒雲母(バイオタイト)らしいです。 つまり雲母の部分がむちゃくちゃ多い花崗岩……ということで、 スピネル・イン・バイオタイトの名前も見かけたことがあります。 赤い石の母岩の部分は緑じゃなくて黒なんだから、ゾイサイトであることがわかるとして、 では、赤い石はルビーではないのか。 これは実際に確認することができます。 ……というのは、ルビーは紫外線で蛍光するので、紫外線を当てれば一発解決!。 やってみました。 ルビー・イン・ゾイサイトに紫外線。 全体が青く写っているのは、紫外線ライトを当てているから。 青(青紫)の非嘉永を当てているのに、ルビーの部分は赤い。 これは、ルビーが赤く蛍光しているためです。 ルビー・イン・フックサイトも試してみました。 紫外線照射! ちょっと紫外線の当て方がまずかったみたいですが、蛍光しています。 では、この石は。 紫外線照射! はい、蛍光いたしません。 よって、ルビーではない。 ルビー・イン・フックサイトをルビー・イン・ゾイサイトと間違えるぶんには ともかく「ルビー」の部分だけは合っているわけです。 ところが、赤い部分はルビーじゃない、母岩の部分はゾイサイトじゃない。 どっちも全く違うものが「ルビー・イン・ゾイサイト」として売られている。 買ったこの店が特別いい加減な店ではなくて、どちらかというと「より正しい表示をします」と、 アマゾナイトとしてきた石を「クォーツァイト染め」と表示してる店なんですが。 ビーズの名前というのはいろいろあれこれ危険に充ち満ちています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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