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2006年06月11日
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辞書で、「ひとでなし」という言葉を引いてみました。

「人で無し」⇒人としての道に反する行いをする者。人情や恩義をわきまえない者。

あの舅に恩義なぞありませんし、恩義に思うような事はただの一度もありません。でも、人間ですからね、「情」ってものが、普通の人ならあるのでしょうが、あいつは普通の人じゃない。

漱石の「草枕」の冒頭の部分にあるように、人の世は住みにくい、しかし作ったのは隣近所のただの人、越す国はなくあれば人でなしの国、ってありますが、私は今日というほど、我が家の一階には「人でなし」の住む国があるんだ、と思いました。

姑に欝の症状が出始めた頃から、何かと漱石の「草枕」の冒頭部分が頭の中を回ってました。

情に棹差せば流されて・・・

病気と共に闘っていかなければならない姑の姿がやはり闘病中の母と重なるんです。病の種類は違えど、病に対して不安な心境でいる姑を見てると、情にほだされもするけど・・・憎まれ口叩くから、コンチキショーとも思いもしてます。

姉に言わせれば、それが、「人間」「人」なんだよ、「人」は一人じゃないから支えあって立ってるから、「人」という字であり、その「人」と「人」との間に生きるから「人間」であるんだよって。

それもそうだな、そう思いつつ過ごしてました。

そんな折兄貴の嫁さんの件もあって

色々悩んでました、親子って・・・

そんな折、昨夜というか正確には今朝方ですね、姉から電話があって、実家の母が胸が苦しいというので、今から救急車で病院へ連れて行く、病院にも連絡し、受け入れOKとのこと。

昨夜は旦那は泊まりで留守だったけど、とにかく心配だったので、寝てる娘を毛布で包んで、そのままジュニアシートに座らせて、階下の姑に声掛けて、病院へ行くから、と。


姑は、菜豚子は?って言うので、起きた時に私を探すといけないから、寝たままジュニアシートに縛り付けましたからって言って、自分の車で病院へ走った。


幸い、母は利尿剤を打って、点滴打って、現在もICUには入ってるけど、運ばれた時のがウソみたいに落ち着いて、明日か明後日には一般病棟に移れるだろう、とのこと。

姉の話では、母は、夢見が悪くて、眼が覚めて冷たいお茶を台所で一杯飲んでトイレに行こうとしたら、なんとも言えないくらい胸が苦しくなって、咄嗟に近くにあった梅干のツボの蓋を思いっきり投げた、その物音で姉が驚いて降りてきて、見たら、母が顔面蒼白になってたので、即、病院と救急車へ連絡したとのこと。


母よりも、姉のほうが心配なぐらい落ち込んでて、食事も水分も塩分も管理して、生活のサイクルも身体に負担が掛からないようにしてきたのに、どうしてこんな事になったのか、自分の手落ちだと自責する姉が痛々しいほどで、看護師さんやドクターも、患者さん本人よりオネエサンの方が心配、ドクターもオネエサンの主治医にも一言、報告しておきますね、状態の悪化が懸念されますからねぇっておっしゃる始末。


それでも、母の容態も落ち着いたし、伴い、姉も少し元気になったので、今夜は旦那も帰ってくるし、明日は娘の幼稚園もあるし、とにかく、夜中に飛び出してきたままの状態ではあるし、少し元気な姉が付き添うというので、明朝、娘を送り出してからまた病院に顔出すね、と言って帰ってきた。

帰ってきて、一応、下にも声かけた。

「お騒がせしまして・・・」と。

姑は、
「落ち着いたの、良かったね、緊急透析とかにはならなかったの、良かったね、疲れたろう、オネエサンが付き添うのはいいけど、オネエサン自身がダウンせんようにせんとね」

と、言ってくれた。

これで、情に流されそうになったその時、

オニジジ舅が

不摂生してんじゃないの。だいたいね、病気なんてするは、気が甘いの。病は気からって言うでしょ、糖尿なんてものはね、運動すりゃ治るんだよ、運動すりゃ、腎臓なんてものはね、塩分と水分控えりゃ落ち着くんでしょ、薬飲んで、病院行ってそういう生活してるから、どっぷり病人になるんだよ、薬なんてね、長く飲むもんじゃないでしょ」


娘は、目の前にいたけど、普段、娘がいる前では大きな声上げたりしないんです。でも、今日と今日ばかりは、絶対、我慢ならなかった。

何も知らないくせに勝手な事言わないでくださいよ


語尾のほうは、涙声で叫んでた。あまりにも悔しかったし、歯がゆかったし、絶対に許せなかった。

でも私が叫ぶと同時くらいに、姑の平手打ちが飛んでました


姑も涙ボロボロこぼしながら、

この人でなし」って。

何も言う気もせず、娘抱いて二階に駆け上がりました。

娘は、判ってか、判らずか、
「ママ、泣かないでね、ヨシヨシしてあげるから泣かないのよ」ってヨシヨシってするんです。

旦那が帰宅したのは、それからすぐでした。旦那には、状況をメールで連絡してましたので、母が入院したことは知ってました。

「お母さん、どんな状態?」と言いながら家の中に入ってきた旦那は私の顔見て、最悪の事態を咄嗟に思ったと言ってました。

そりゃ思うでしょうね、母親が入院して、娘抱いて泣いてるんですから。

私より先に、娘が
「あのね、おじいちゃんが、ママをイジメタノ。そしたら、ママ泣いちゃったの。だから、おばあちゃんは、おじいちゃんを懲らしめたの」

素晴らしい報告、さすがわが娘。

すかさず、旦那が

「あのクソ親父がぁ」と叫んで、一階へ飛んで降りました。

あのクソジジィとは思ったけど、娘にご飯も食べさせないといけないし、もうあの「人でなし」には、情なんて持つものか、姑はともかく、舅には真綿で首絞めるようなことしてやるんだ、と思いつつも、ちょっと親子喧嘩の様子も・・・と気になりつつ・・・

で、一階へ降りて覗いてみたら、破れてボロボロになった電話帳、ボロボロになった新聞、折れた箒、取っ手の壊れたフライパンが散乱してて、仁王立ちしてる姑とむくれて座り込んでる舅、その傍に呆れ顔で立ってる旦那。


「パパ・・・」と少し離れたところから、声かけたら、

「ママ、今日は大変だったろ、今からご飯作るの大変だろうから、店屋物取ろう、お袋も一緒に上でメシ食おうや、親父は勝手に食え」

旦那が、怒鳴りつけてやろうと思って行ったとき、すでに障子が1枚壊れ、電話帳、新聞、箒が壊れ、フライパンで姑が舅を殴りかかろうとしてたので、おふくろ、それはやばい、と言った瞬間、フライパンは投げ放たれて、本棚に激突し壊れたとのこと。

親父には、勝手な意見を押し付けるな、述べるなって釘はさしておいたけど、あぁいうバカだから何言うか判らないけど、できるだけ聞き流してくれ、但し、どんな小さな事でもいいから親父のイヤミ、皮肉、憎まれ口は自分に教えてほしい、というのが旦那の言い分。

姑は姑で、陽菜子さん、ごめんね、本当にごめんね、お母さんにもごめんね、と何度も繰り返してました。

書いたら少し、すっきりした。







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最終更新日  2006年06月11日 23時23分59秒
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