戯曲 虚仮・滑稽 / コケ・コッケイ (17 )
今日も雨降りです~。 台風もやって来るみたいだし~。 やれやれの・・・最終回で~す! 戯曲 虚仮・滑稽 (コケ・コッケイ) ***** ***** 続・中央駅員 デグチさん、気分でも悪かっ たの? 右の駅員 いいえ。 続・中央駅員 でも、苦しそうだったよ。 右の駅員 さっきまで、鶏の鳴き声について 話していたんです。 続・中央の駅員 鶏の鳴き声についてねえ。 (思いついたように)あっ、そうだ。 右の駅員 なんです? 続・中央の駅員 鶏の鳴き声だよ。 右の駅員 あなたのは、コケ、コッコ―じゃ ないんですか? 続・中央の駅員 俺じゃあないさ。うちの子 供だよ。 右の駅員 あなたのお子さん――。 続・中央の駅員 俺のさ――。 右の駅員 云って下さい! 続・中央の駅員 云うのかい? 右の駅員 お願い! 続・中央駅員 (云おうとするが)やめと こ。 右の駅員 (ガクッときて)なぜ?どうして やめとくの? 続・中央駅員 君のとさして違わないから さ。 右の駅員 違わなくていい!違うわけは無 い んです!デグチさんはそう云ったんだ ――。 続・中央駅員 只、ちょっとは違うんだ。 右の駅員 ちょっと違うってことは、ほとん ど 同じって事なんだ!(ボックスの中で 立ち 上がり)僕はひょっとするとデグチ さんの――。デグチさんの――。 続・中央駅員 デグチさんの? 右の駅員 あなたも他人事じゃないんで すよ! 続・中央駅員 (ボックスの上に立ち、遠く を見 回す)――。 遠くで鶏の鳴き声。なにやら、コケ、 コッケーイとは聞こえまいか? 右の駅員 (あきらめて続・中央駅員を見 下ろす)デグチさんの鶏、なんて鳴くと思 います? 続・中央駅員 さあ――。 右の駅員 虚仮、滑稽――です。 二人、顔を見合わせている。それは あたかも、各々が天と地を眺むるに にたり。また、これごとき彫刻を駅前 に備えたれば、愚かな冗談と、夢の 島へ葬り去られるやも知れん。 暗転。 などと昔の事を思い起しつつも既に、 胸は高鳴り、喉はクークーと音を立 てているんだよ。あれ?君、寝てちゃ あいけないよ――。 ***** ***** これでおしまい・・・イチゴブラントサガッタ。 これまで、律儀に読んで下さった方々、返す返すも、ありがとう ございました。 若い頃は、こんな事考えていたんだなぁ~、とか・・・ちっとも、 成長してないじゃん!・・・なんて、思ったりしちゃいましたよ~。 現在の自分とは、明らかに違う、若い頃の自分に、ちょこっと だけ、優しくしてあげたく、なりました。 若者って・・・いつだって、真剣だし、一生懸命に前に進もうとす るでしょ~。 それも、ちゃんと、自分のひ弱さを、認識しながら・・・ 因みに・・・ アハハ~、おばさんだって、いつも真剣なんですけれど、ねぇ~!