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テーマ:コーラス(2685)
カテゴリ:教会コーラス
11月1日月曜日は、Allerheilige(全ての聖人の日)で祝日だった。
休みになるくらいに、キリスト教では一年でもっとも重要な祝日に数えられるらしく、当然のことながら、この日にちなんだミサが行われる。 教会コーラスの出番だ。 S村では今年はミサがなかった。 信者数が衰退の一途をたどるなか、教会区の再編成、つまり統廃合とそれに伴うミサの集約化が進んでいて、小さな村の教会では月に一度とか二度とかしかミサが行われなくなってきている。 時代を反映した当然の改革なのだろう。 残念なのが、統廃合によってミサの回数を減らされる小さな町村にも、あまり出歩くことのできない高齢者がたくさん住んでいて、しかも熱心に教会に通ってくるのはまさにそういう人達だという事実。 S村では出番がなかったものの、K町からヘルプ要請が来ていた。 それも珍しいことに、今回は私へのヘルプ要請だった。 たいていヘルプ要請を受けるのは、年々希少価値が高まっているテノールのオットなのに K町は大体においてレギュラーで8人くらいのソプラノがいるのだけど、 Allerheiligeで始まる週はちょうど学校が秋休みのため、来られる人数が極端に少ないということだった。 歌う曲はS村でも歌っている無難な曲ばかりということなので、大喜びで出かけていく私 K町の教会は、S村の教会とは比べ物にならないくらいに大きい。 白を基調としたネオ・バロック様式の内部は明るく、予算の都合で漆喰の装飾は必要最小限、天井画もない。 それが逆にすっきりとしていて品が良い。 プロポーションから見て、天井がやたらと高く、オルガンが設置してあるバルコニーだけではなく、壁際にぐるりと回廊がついている。 いつもは、コーラスに加えてオーケストラ(というかアンサンブル?)、4人のソリストがところ狭しとひしめき合っているバルコニー部分が、当たり前だけどコーラスだけだとガランとしていた。 そしてミサが始まった。 ウォーミングアップも、声出しもまったくなしに、ミサが始まるとすぐにコーラスの出番。 焦った。 声が、目の前ですぐに吸い込まれて消えていく感じ。 フレーズとフレーズの間に、わずかにはるか遠くの内陣にぶつかって跳ね返る声が聞こえる程度。 横から後ろから聞こえてくるコーラスの声も、なんというかはかなげで、とても20人からなる集団の声とは思えない。 K町で歌う時にはたいてい楽器が一緒なので、そのボリューム感が頭にあった。 帰り道、家まで送ってくれる指揮者に話してみた。 ビックリしたよ。 いつもはオケとかソリストとか一緒だから感じたこと無かったけど。 今日はなんか、声が空気の中に消えていくみたいだった。 へ? あああ、そうそう。みんな最初は驚くんだ。 でもあの教会は下にいると聞こえ方が全然違うんだよ。 ものすごくアクースティックが良いから、ささやき声でも全部下まで聞こえるんだ。 K町の教会はね、この谷中で一番アクースティックが良いんだよ。 谷で一番音が良い教会、かあ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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