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カテゴリ:エッセイ
ウオーキングの後は「あるこーる会」で仲間とビールで乾杯、口を潤して帰宅することが多い。現役をリタイヤした人も多いが、現役時代はさまざまな分野で活躍しており話題も豊富で、「飲・食」に関わることが話題になることも多い。その時はいつも「好きなものはうなぎの蒲焼、嫌いなものはおでんの大根」と言っている。
おでんの大根は大好物という人が多いのも事実であるが、どうしても駄目だから仕方がない。人との出会いもそうであるが、食との出合いも最初の出合い、少年の頃の印象が大いに影響するような気がしてならない。食ではないが、アルコールも全く同様かと思う。今や大流行で多くに人に人気がある焼酎も、戦後中学生時代に初めて飲まされた「芋焼酎」の印象が強く、今も好きにはなれない。今はブームでもあるので焼酎もお付合い程度には飲むが、やはりビールの後は「日本酒」であり、「ワイン」である。 九州の片田舎・柳川で生まれ育った私にとって、忘れられない味覚は元祖本吉屋の「うなぎのせいろ蒸し」である。<柳川=北原白秋・川下り・うなぎの蒲焼>の印象があるのも事実で、元祖の本吉屋の「せいろ蒸し」は、江戸時代から受け継がれる秘伝のタレがしみ込んだご飯に、炭火で焼いたうなぎの蒲焼をのせ、せいろで蒸上げた料理であるが、その味覚は最高である。 「うなぎのせいろ蒸し」は幼児の頃から大好きだったので、進学上京後も初めて親しい学友と新宿で食事をした時も、 「うなぎのうまい店はどこか知らない?」 「伊勢丹の近くにあるよ!」 「うまいかな~?」 「とにかく一度行ってみよう!」 と「うなぎの蒲焼」の店を探し歩いたほどである。でもうなぎの歯ざわり、しみ込んだタレなどその時の味覚は自分のイメージとは異なり満足できなかった。その後も、銀座・日本橋・渋谷のうなぎ専門店へ行ってみたが、やはりもう一つで満足できなかった。日本橋三越近くにやっと好みにあった店を探し当てたが、残念ながら間もなく閉店してしまった。 現役時代、毎月静岡・栃木県へ出張していた頃は、各地のうなぎ専門店で会食する機会もあり、知名度の高い浜松のうなぎは楽しみにしていたが、私にとっては”いまいち”だった。味の好みは人それぞれであり致し方ないが、私にとっては「うなぎのせいろ蒸し」こそが、うなぎの蒲焼である。 元祖・本吉屋の先代店主は小学校時代の学友で、ある時うなぎ談義をしたことがある。 「本吉屋のうなぎは他と違うかど、なのか秘訣はあるの?」 「元和元年うなぎのせいろ蒸しを世に出して以来今日まで三百有余年になるが、初代秘伝の タレと料理技術を忠実に継承しているだけだよ」 「それだけ?」 「タレをまぶしたご飯の上に、焼き上げたばかりのうなぎの蒲焼をのせ、うなぎと合性がよい金糸卵をあしらって、二度せいろで蒸している」 今や、柳川名物として全国的に愛用されており、ファンも多いようだ。私も帰郷した折には、先祖の墓参りと本吉屋の「うなぎのせいろ蒸し」だけは欠かしたことがない。 飲・食は人それぞれでよいとは思うが、誰がどう云おうとも私にとっては、うなぎは「うなぎのせいろ蒸し」である。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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