カテゴリ:カテゴリ未分類
今回は、
「先生!おしりから何か出ています。」のパート2。 前回のパート1をまだお読みでない方は こちらをクリックどうぞ。 ↓↓↓ 先生!おしりから何か出ています さて、 今回は、 前回をふまえてのパート2。 同じように、 「おしりから何か出ています。」という主訴で患者さんが来院されました。 (ここからは いつものように症例の写真が登場します。 苦手な方はご遠慮ください。) 患者さんは、 小型犬のわんちゃんです。 そのときの様子がこちら。 ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 角度をかえて、もう2枚。 たしかに まるい大きな物体が陰部から出てますね。 これはいったいなんでしょうか。 出産途中のようにも見えます。 角度を変えて、 横から見てみましょう。 おしり全体が、 おしり全部が 突出しています。 ちょっと、出産とは違うようです。 出産では、 ここまで大きくお尻が突出しないです。 では、 毛を刈ってみます。 上から順に、、、 尻尾があり、 肛門も確認でき、 大きなふくらみがあり、 その下に、 陰部から物体が突出しています。 毛を刈ってみて もっとよく分かりましたが、 突出部分は かなり大きいです。 突出した部分の上部は、 内出血を起こしています。 内側からの圧迫がだいぶ強いのでしょう。 さて、 あらためて、 一体これは 何でしょうか? みなさんには、問題をだしたまま続けますが、 写真はこの先、 この答えが分かった上で 手術で摘出したものをお見せします。 術中の写真が、苦手な方はご遠慮ください。 消毒して、 手術の準備をします。 電気メスを使いながら、 切開をします。 皮膚を大きく切開して、 腫瘤物を確認します。 根本のほうをたどりますが、 どんどん大きい物が出てきます。 ひと塊になっていますが、 血管が多数走行しているため、 出血量も多いです。 止血を繰り返しながら、 腫瘤物を取り出します。 大人の手の握りこぶしと比べると その大きさが分かると思います。 体重2キロの小型犬のお尻に これだけ大きなものがあったら・・・・・想像してみてください。 切開部分を縫合して、 手術は無事終わりました。 写真で見るとあっけないかもしれませんが、 時間的には だいぶ時間経過しています。 個人的には、 まれにみる大きな手術のひとつで、 自分の生涯で同じ症例に出会うことは 二度とないだろうと感じるくらい、 めずらしい手術になりました。 これが取り出した腫瘤物です。 直径10センチ以上もあります。 さて、 ここで復習です。 先生!おしりからなにか出ています パート1 でお伝えした腫瘤物。 あの腫瘤物は、 膣粘膜が過形成したものでしたね。 さて、 ちょうど時期が重なったので、 そのときの腫瘤物と 今回摘出した腫瘤物を並べて、比べて見ましょう。 向かって右が パート1、 左が 今回摘出したパート2の腫瘤物です。 このふたつ。 実は、 もとは同じものです。 どちらも 膣粘膜が過形成したものです。 つまり、 右の状態を 放っておくと、 だんだんとでかく大きくなり、 左の状態になります。 それにあわせて、 外観的にも 突出部分がだんだん大きくなる、というわけです。 右の状態だと、 無麻酔で、数分で、処置完了ですが、 左の状態まで放っておくと、 大規模な手術になり、 もちろん、麻酔も必要、出血も多く、 術後の管理も大変で、命に関わる問題になります。 同じ病気でも、 軽いうちから 早めに治療するか、 元気に日々ふつうに過ごしているうちは放っておいて、 後で 大きく治療するか、 その選択は ご家族の意向に左右され、 処置も治療も結果も それに合わせていろいろなんだなということを あらためて実感させられました。 何が正解かは分かりませんが、 それぞれの飼い主さんがいて、それぞれの価値感があって、 それぞれの状況があって、 それぞれにとりまく環境があって、 それによって、 答えはばらばらです。 そのかわり、 どういう選択肢があるのかということを 自分の持っている引き出しを開いて、 いろいろな選択肢を提供し、アドバイスするのが こちら側の使命だなと学ばされます。 ともあれ、 今では、 どちらのわんちゃんも元気にしています。 こういう病気はあるんだな、と知っておくのも損ないかと思います。 ペットたちの日々の健康管理にお役立てください。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023年12月09日 14時54分29秒
|