カテゴリ:神社マン
少年は背を向けて歩き出そうとした。
しかしその足はすぐに止まる。 「いやいやいや待て?ちょっと待て?少ーし待て?」 見上げた視線の先に、なんとも形容し難い筋肉の塊が立っていた。 プロレスラーのようなマスクに、今にも千切れるんじゃなかろうかと言うぴっちぴちTシャツ。 はっきり言って、不審者以外の何者でもない。 少年は携帯電話を取り出した。 「もしもしおまわりさん?3丁目の丘の上に変質者がいるよ。早く捕まえに来てね」 プツッ。 無常な音に遮られた電波の向こうで、巡査はどんな顔をしていたのだろうか。 うねうねと動きつつ状況を静観していたカマボコンは、その巡査を哀れに思った。 数分後、自転車で駆けつけた警官に両腕を抑えられた不審者は、それでも不適な笑みを浮かべつつ叫んでいた。 「わたしは不審者ではない!」 誰もその言葉を聞き入れてはくれなかった。 「われこそが地球最後の正義のヒーロー、神社マンである!!」 その雄叫びは、むなしく夕空に散っていったのでありました。 第2話・完。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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