レイ Ray
アメリカ合衆国ジョージア州出身の黒人ミュージシャン、レイ・チャールズの伝記映画。彼を知らない人でも、”わが心のジョージア(Georgia On My Mind) ”や”愛さずにいられない (I Can't Stop Loving You)”などを聞けば「あ~、あの曲か!」と思う人も多いはず。彼を知らない人が観ても十分面白い映画に仕上がっていると思う。人種差別・盲目のハンデ・ドラッグへの傾倒など様々なモチーフがモザイク模様をなしていて、と同時に映像の方でも現在に過去がフラッシュバックされるという二重モザイク構造になっている。このほかにも母への思い、弟の事故というトラウマ、などモチーフがてんこ盛りなのに散漫にならないのは、音楽という太いテーマが1本通っているからだろう。音楽に魅入られ、音楽の神様に魅入られた人は、多分常人には分からない歓びと共に苦悩を抱くんだろう。音楽が天から降りてくる瞬間! そしてコンサートで聴衆と一体になる瞬間! そういえば晩年のレイ・チャールズを日本で見たことがある。 あの頃は彼にこんな人生があったとは全く知らなかった。たとえば1961年、ジョージア州オーガスタでの公演を彼は直前に取りやめる。 黒人隔離施設での演奏を拒んでの事。それに対しジョージア州はレイ・チャールズがジョージア州で演奏することを禁止し、それを過ちと認め彼に謝罪したのは1979年のことだった。私はレイ・チャールズを初めて聴いたのは多分1980年頃だと思うが、そんなことは全く知らなかったし、聞いても「ふ~ん。。。。」くらいの感想しか出ないお子様だっただろう。今週、9月23日が彼の誕生日だそうだ。彼の母親役の女優は、これが映画デビューだそうだが、とても良い女優だと思った。