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カテゴリ:ケセラセラな日々
義母が『看取り』の体制に入った 最初の夜のこと 義母の息遣いを見守りながら エキストラベッドに腰をかけ テレビもラジオもない静かな部屋で ワタシは腕時計の針の位置を確認した。 『静養室』と呼ばれるその部屋は個室で ベッドの奥に家族用のスペースがあり そこで夜を過ごすことになるのだが 不安な家族の気持ちを支えるように 介護スタッフや看護師さんが 約1時間ごとに入れ替わりたちかわり 様子を見に来てくれるのがありがたい。 もうすぐ夜中の12時か 施設内は電気がすべて消えており 暗く長い廊下の先にあるトイレまで歩くのは すこし勇気がいる。 丑三つ時になる前に トイレを済ませておこうか そんなことを考えていると ジャーーーーー・・・ 何かが流れるような音がした。 ふり返ってみると 部屋の隅にある洗面所の水道の蛇口から 水が流れている。 そして数秒後、勝手にピタッと止まった。 えっ? この洗面所の水道は 手をかざすと一定時間水が流れる機能だが もちろん ワタシは使っていないどころか 洗面所に近づいてさえいない え゛ぇえええーーーっ;;; あの水道ってセンサーやんな 何に反応して流れたというの;;; いったい 誰の手が・・・??? そういえば この部屋は 入所者の最期を看取るための部屋 今まで何人ものヒトが ここで亡くなっているということだ。 出たのか そうか出たんやな 背中に冷たいものを感じ さっきトイレに行っておかなかったことを後悔した。 うぇえええ~~ん::: もお帰りたいよぉ~~~;;; そのとき コンコン・・・ ふぎゃぁあ~~っ 「オムツの交換をさせていただきます」 あー ビックリしたぁ;;; 部屋に入ってきた介護スタッフさんに ホッとして、助けを求めるように訴えた。 「さ、さっき あの水道がぁ;;;」 「ああ。アレね。毎日12時になると 詰まり防止に自動的に流れるんですよ。」 え~;;; 早く言ってくださいよ~;;; ビックリしたぢゃないですかぁ~;;; 「この部屋ではあの水道だけですが 共同トイレの6個の蛇口から真夜中に ザーーーーっと 一斉に水が流れ出すのは ちょっとしたオカルト現象ですよ。ハハハ。」 もしトイレ行ってたら ぜったいチビってた もちろんダンナと交代するときには、このコトは内緒にしておいた。 『この部屋で今まで何人も亡くなってるんだよねぇ』とだけつぶやいて。 ←誰かの手がクリックを・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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