満点を頂く!の巻
え~と、毎日食べ物のことばかり書いているが私はちゃんと勉強している。午前中のReading&Writingの授業ではessayを書かされる。essayというのは日本語で言う「随筆、エッセイ」ではなくて、論文のことである。大学院入試の段階ではいくつものessayを提出したし、大学院での授業が始まったら沢山のessayを書かねばならない。日本人の私が英語で論文を書く際の難しさは英語で書くということそのものに加えて、英語を使う人々の理論展開の方法を使いこなすことにあると思う。日本語で論文を書くと、文章の構造が分かりにくかったり結論が曖昧であっても許される。しかし、英語で書く場合は・明確な結論・結論を支える根拠・根拠を理解するための具体例(より具体的であるほうが良い)をはっきりと書かねばならない。曖昧さが入り込む余地はない。サマースクールが始まってからいくつかのテーマで論文を書き、先生のDr.Jillに丁寧に推敲してもらった。「わかりやすい導入部分を書く」「原因と結果の展開」など、毎回役に立つテクニックを学んできた。そして今回のテーマは'Have you ever had the experience of being "other"?'~「『よそ者』であった経験はありますか?(私的に意訳)」使うべきテクニックは「似ているもの・異なるものの対比」である。テーマは毎回テキストのテーマにそって決められていて、この章ではアメリカに移住した経験を持つ人々や、その二世・三世の人々また世界各国で亡命などの経験を持つ人々の文章が載っていてその人たちのアイデンティティーのよりどころや異文化を受け入れることの難しさについて書いてあるところが大変興味深い。語学学校のテキストでこういう話題をバンバン扱うから、英語そのものだけでなくアメリカという国への理解が深まるのだと思う。私は少し迷ったがドイツから日本に帰国した時のことを書いた。英語なので日本語で書くよりもさらにはっきりと生々しく当時のことを書かねばならなかった。さらにそれが自分の人格形成にどういう影響を及ぼしたかを考察した。感情に走ってはならない。これは「論文」なのだ。下書きその1を提出したときDr.Jillはその内容に大変驚き、当時の状況について少し質問をしてきた。彼女は日本在住経験のあるかなりの日本通で、私の書いた内容がショッキングながらも理解できるようだった。推敲を2回行い、今日決定稿を提出した。Dr.Jillはすぐに採点してくれた。結果は25/25の満点だった。当時の私と周囲との違いをきちんと対比しながら論理を展開したため、きちんとした論文になったのだった。驚いたのはこの後だった。大変興味深くよくできたエッセイなので、Dr.Jillがファイルを保存させてほしいという。私は喜んで電子メールでファイルを送った。この論文は頑張って書いたので大変思い入れが深いが、私が最も気に入っているのは結論だ。(Dr.Jillも「私はこの結論が好きだ」と言ってくれた)'Until now and from now on, I am myself and choose to be myself.'~「今までもこれからも私は私だし、私であることを選択する」